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2011年6月16日 (木)

クラムボンの点と線

クラムボンのベスト盤が、所属レコード会社毎に、2組、発売されました。

Title:ワーナーベスト
Musician:クラムボン

クラムボン ‐ワーナー・ベスト‐(通常盤)

こちらは、デビュー以降2003年まで所属していたワーナー・ミュージックからの曲をまとめたベスト盤。

Title:columbia best
Musician:クラムボン

clammbon -columbia best

で、こちらは2003年以降、現在まで所属しているコロンビアからリリースされた音源をまとめたベスト盤です。

どちらもインターネットによる人気投票の結果、上位となった曲を、CD容量いっぱいまでおさめている内容。このアルバムで、はじめてクラムボンを聴く人にとっても、最適なベスト盤だと思います。

さて、クラムボンといえば、その活動とともに、楽曲のスタイルを徐々に変えてきたミュージシャン。具体的にいえば、初期はジャズの要素を含めながらも、あくまでもポップミュージシャンとして活動を続けていたのが、2002年にリリースした「Re-clammbon」、そして「id」あたりから、ポストロック、ジャム、サイケなどのジャンルに傾倒していきます。

その後、音へのこだわりは続いたのですが、やがて再びポップな路線に戻り、最新アルバム「2010」をはじめ、アレンジが凝っているのはそのままながらも、あくまでもポップな作風に戻ってきています。

ベストアルバムにおさめられているのは、そんな彼らの活動の軌跡。初期作品をおさめている「ワーナーベスト」は、メロディーと歌詞が中心のポップな作品が、「columbia best」では、凝ったサウンドを聴かせる作品が多く収録しています。

そして、CD以上に要注目なのが、初回盤についてくるDVD。2000年の赤坂BLITZでのライブと、2010年のよみうりランドでのライブの模様が、そのまま収録されています。

それぞれのレコード会社での活動期間での曲をまとめたCDが、クラムボンの活動を「線」で捉えたものだとすると、ライブDVDは、まさにその時点でのクラムボンの興味が、そのまま収録された、まさにクラムボンの活動を「点」で捉えたものと言えるでしょう。

2000年のライブは、まさにジャムロックやポストロックに彼らが興味を持ち始めている頃のライブ。それだけに、初期のポップな作品に挟んで、インプロビゼーションが入ったり、その後の彼らのサウンドにつながるようなステージを見せてくれます。音楽に対して、ストイックに接している部分も感じられ、ある種の緊張感も伝わってきます。

一方で、2010年のライブは、野外というライブ環境もあるのでしょうが、もっとポップで自由さを感じられます。メンバーの肩の力も抜けたような感じで、なによりも会場全体がハッピーな空気でつつまれています。楽曲も、シンプルにポップな曲が多く、楽しい雰囲気が伝わってくるようなライブでした。もっと自由にポップな曲を楽しみつつある、今の彼らのバンドとしての方向性を感じるステージでした。

どちらのアルバムも傑作なのですが、個人的に、どちらが好きか、と言われると、やはり初期の「ワーナーベスト」の方なんだよなぁ。もちろん、凝ったアレンジの曲もおもしろいのですが、長く聴き続けるのは、やはり素直にポップな曲の方で・・・。特に、「便箋歌」みたいに、歌詞が印象的な曲も多く、コロンビア時代の曲と比べると、心に響く曲が多いように思いました。

とはいえ、最新アルバム「2010」も傑作でしたし、いまだに勢いを感じさせる彼ら。これからもどんどんと傑作をリリースしてくれそう。その前に、このベスト盤で、あらためてこれまでの彼女たちの軌跡をチェックしておきたいところ。特にライブDVDは、音源を全て持っているファンの方にもお勧めです!

評価:
ワーナーベスト ★★★★★
columbia best ★★★★★

クラムボン 過去の作品
Re-clammbon2
JAPANESE MANNER ep
2010

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