SOPHIAの歴史
昨年、デビュー15周年を果たしたロックバンドSOPHIA。その彼らが、そのキャリアで発売したシングルをすべてまとめた、オールタイムのシングルコレクションが発売されました。初回限定版で「ALL 1995~2010」として、豪華5枚組のボックスセットが発売されましたが、その後、いわゆるA面の曲のみあつめた「ALL SINGLS 『A』」と、カップリングのみあつめた「ALL B-SIDES『B』」として、通常販売されています。
Title:ALL SINGLES 「A」
Musician:SOPHIA
こちらはデビューシングル「ヒマワリ」から、最新シングル「Baby Smile」まで3枚組のCDに網羅。残念ながら、配信とライブ会場限定で発売された「BANDAGE」は収録されていません。
Title:ALL-B SIDE 「B」
Musician:SOPHIA
で、こちらはカップリング集。デビューシングルのカップリング「Dancing in the moonlight」から、「星」のカップリング「男の子」までが2枚組のCDに収録されています。
シングル曲を網羅的に入手できるのは、やはりファンにとってはうれしい話。特にカップリング曲に関しては、アルバム未収録で入手困難な曲もあるだけに、ファンにとってはありがたい作品でしょう。ただ、ヴァージョン違いやライブ音源などは収録されていません。むしろコアなファンにとってほしかったのは、そちらでは?その点は、ちょっと残念です。
SOPHIAといえば、デビューした時期はちょうどヴィジュアル系バンドブームが全盛期の頃。今のブームのように、一部のファンで盛り上がっているというよりも、10代20代全体の支持を得たバンドが数多く活躍していました。SOPHIAも、そんなヴィジュアル系のカテゴリーでデビューしてきたバンドでした。
そんな中で、彼らが他のバンドと違っていたのは、ハードロックやヘヴィーメタルからの影響が皆無という点。他のヴィジュアル系バンドは、ハードロックやヘヴィーメタルからの影響の強いバンドが多いのですが(それは、今も、ですが)、彼らは数少ない、オルタナ系ギターロックバンドから強い影響を受けたバンドでした。
そういうこともあって、個人的には、メロディーもポップで聴きやすく、また、軽快なギターロックが心地よいため、比較的、デビュー当初よりアルバム毎にチェックしていたバンドでした。
で、今回あらためてシングルを通して聴くと、やはり「ゴキゲン鳥~crawler is crazy~」あたりから「ROCK STAR」あたりの勢いは突き抜けていたなぁ、ということを感じます。特に、彼らの代表曲の1曲である「黒いブーツ~oh my friend~」は歌詞、メロともに本当に名曲!悲しい内容の歌詞と相反するような明るい雰囲気のアレンジとメロディーラインのバランスが秀逸で、何度聴いても、おもわず涙が出てきそうに・・・。
また、「HARD WORKER」も間違いなく聴きどころ。この曲、なんとプロデューサーは、あの岡村靖幸!岡村ちゃんプロデュースのもと、最高にファンキーでロックな作品に仕上がっており、SOPHIAを普段スルーしているような方でも聴く価値あり!です。他にもシングルでは「ミサイル」のようなファンキーな曲もあるのですが、「ALL B-SIDE 『B』」を聴くと、デビュー曲のカップリング「Dancing in the moonlight」からファンキーなナンバーに仕上がっており、もともと、こちらの方面からの影響も強く受けたバンドだったんだなぁ、とわかります。
正直、ここ最近のシングルに関しては、全盛期は過ぎてしまったかなぁ、という印象は否めず、インパクトが薄い感じがするのですが、それでも佳作が揃っている感じで、ところどころ、メロディーセンスの良さは感じます。
「ALL B-SIDE『B』」の方は、「コーヒーの二つの役割~two parts of coffee」のような、ちょっとこジャレた、カフェミュージックを意識したような曲があったり、エディット・ピアフの「愛の讃歌」をカバーしていたり、「GJ escAPE」ではガレージ風にまとめたりと、それなりに新しいことに挑戦はしているのですが、全体的にはシングルの延長のような形になってしまっているのはちょっと残念な印象も受けました。
あ、あとやはり、これだけ聴きなれても、ボーカル松岡充の声量のなさと音域の狭さはちょっと厳しいなぁ・・・。全盛期の曲は、それを感じさせない勢いはあったのですが、これだけ長く聴くと、ちょっとその点が、ひっかかってしまいました。まあ、こればかりは、逆に「味」になっている曲もあり、彼らの個性でもあるので、いかんともいがたい点ではあるのですが・・・。
CDが全5枚になるので、ちょっと入門盤として向かない、ファンズアイテム的要素の強い作品。ただ、SOPHIAというバンドに興味がある方は、彼らの歴史を知る上では、うってつけの作品だと思います。
評価:
ALL SINGLES 「A」 ★★★★
ALL B-SIDE 「B」 ★★★★
ほかに聴いたアルバム
FAKEBOOKII/大橋トリオ
トリオとついても大橋好規のソロプロジェクト、大橋トリオによるカバーアルバム第2弾。洋楽のポップチューンを、いずれもジャジーに、しっとりとしたカバーに仕上げています。エアロスミスやスティーヴィー・ワンダー、アリシア・キーズなどの曲をカバー。ベタすぎず、でもマニアックでもない絶妙な選曲センスもなかなか。部屋のBGMにでも、しっかりと聴きこむ場合にも十分耐えられる、最適な名カバー集でした。
評価:★★★★★
大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
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