もっと若ければ、もっと共感できたかも。
Title:絶体絶命
Musician:RADWIMPS
おそらく、今、もっとも勢いのあるギターロックバンドは、彼らRADWIMPSではないでしょうか。前作「アルトコロニーの定理」は、彼らの勢いをそのまま反映させたような傑作でしたが、続く新作「絶体絶命」もまた、今の彼らの勢いを感じさせる傑作になっていました。
今回、特に印象に残ったのが、その歌詞の世界。ユニークな死生観が反映された「DADA」をはじめ、心にひっかかるような歌詞が多かったように思います。
ある種、自意識過剰で、世界の中で孤独を感じているような、10代中盤、思春期あたりの感情を描写した歌詞が多いように感じました。
「一人ぼっちは寂しいけれど みんな一人ぼっちなら
寂しくなんかない 一人ぼっちなんかじゃないから」
(「だいだらぼっち」より 作詞 野田洋次郎)
だったり
「端っこに立った少年D 誰も彼なんか見ちゃいない
でも僕にとってはVIP そう僕がいないと始まんないんだよ
僕の世界は」
(「学芸会」より 作詞 野田洋次郎)
だったり、特に、「携帯電話」の歌詞など、実に今風の若者のスタイルを、上手く描写している、逆にオーバーサーティーの私くらいの年代には絶対書けないような歌詞に感じます。
ただ、彼の歌っている歌の主人公って、確かに今時の若者かもしれないのですが、ただ、どの時代の若者も、多かれ少なかれ、ここで歌われるような心境を抱えていた時期があったと思うんですよ。
そういう意味で、野田洋次郎の書く歌詞は、オーバーサーティーの私にとっては、今の自分としては共感はできないものの、「こういう時期もあったよな」と、ちょっと苦笑いしながらも、懐かしく感じてしまいました。
ただ、そんな歌詞が印象的だった今回のアルバムですが、その一方、バンドサウンドやメロディーは、前作の方が上だったかも。
ちょっと全体的には、個性が薄れて、普通のギターロックにおさまってしまった感じ。「DADA」みたいなテンポよい曲があったり、そのまんまエミネムみたいな(笑)「G行為」があったり、カントリー風にまとめている「携帯電話」があったりと、それなりにバラエティーは豊富で最後まで楽しめるのですが、音から来る個性という意味では、「アルトコロニーの定理」の方がよかったなぁ・・・。
そういう意味では、傑作であることは間違いないのですが、比較すると、前作の方がよかったかも。ただ、それでもこのアルバムがお勧めなのは間違いありません。ちょっと若者向きなバンドだとは思うのですが、もうちょっと上の世代でもお勧めできるバンドだと思います。まだ、この勢いは続きそうです。
評価:★★★★★
RADWIMPS 過去の作品
アルトコロニーの定理
ほかに聴いたアルバム
15 Doors/moumoon
ヒットした「Sunshine Girl」を含む、2枚目となるフルアルバム。「Sunshine Girl」と同じ方向性の、洋楽テイストの強い爽やかなポップチューンがほとんど・・・と思いきや、「青い月とアンビバレンスな愛」あたりはむしろCoccoあたりの方向性に近い感じだし、「EVERGREEN」もロックテイストが強いし。ひょっとしたら、もっとロック志向のユニットなのか?「Sunshine Girl」のヒットで、本人たちが望まないイメージがついてしまったら、不幸なのですが、本人たちの嗜好はどっちだ??
評価:★★★★
moumoon 過去の作品
SPARK
CHEMISTRY 2001-2011/CHEMISTRY
CHEMISTRYのオールタイムベスト。一時期に比べて、すっかり影の薄くなってしまった彼ら。確かに、このベストを聴くと、似たタイプの曲が多く、当初の勢いに比べて、最近、いまひとつ人気が奮わないのはわかるような。特に2人、似たタイプの声で、そういう意味では相性ばつぐんの反面、曲の幅が狭くなってしまった感が・・・・・・・・・といっても、結局は、結果論に過ぎないんですけどね(^^;;もちろん、「似た曲」といっても、いまでも心に染みるような名曲が多いだけに、かつて好きだった方も、あらためて是非。
評価:★★★★
CHEMISTRY 過去の作品
Face to Face
the CHEMISTRY joint album
regeneration
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