さらに新たな音への挑戦
Title:THE KING OF LIMBS
Musician:RADIOHEAD
前作「In Rainbows」をリリースした時、そのリリース形態が大きな話題になりました。ダウンロードでは、価格をファンに決定させ、ファンは、好きな金額を支払うと、楽曲をフルダウンロードできる、という形態。音楽シーンで大きな話題を呼びました。
残念ながら、このリリース形態に続くミュージシャンは、その後あらわれなかったものの、今回の新作も、新作の発売を発表した後、わずか4日後に先行配信の形でリリース。また、公式Twitterで、「渋谷 ハチ公前 金曜 18時59分」というつぶやきが日本語で書かれ、その時間に、渋谷ハチ公前にファンが集まるなど、大騒ぎになりました。(当日は、渋谷交差点の大型ヴィジョンにPVを映す予定だったそうですが、人が集まりすぎたために中止になったそうです)
リリース形態でも大きな話題を呼んだ、突然リリースされた3年半ぶりのニューアルバム。毎回、新たな作風を私たちの前に提示してくれる彼ら。今回は、どんな音の世界を私たちに聴かせてくれるのか、大きな注目を集めました。
今回のアルバムで彼らが大々的に取り入れたのが、最近のイギリスのクラブシーンで人気となっている、ダブ・ステップというリズム・・・といっても、偉そうに語れるほど詳しくは知らないのですが(^^;;wikipediaによると「非常に太いベース音と、リバーブのかかったドラムパターン、細切れにされたサンプル音、時折挿入されるボーカルなどを特徴とする」リズムパターンだそうで、その説明の通り、ドラムが、特徴的で、印象に残るリズムを聴かせてくれます。
ただ、リズムパターンなどで、最新のサウンドを取り入れている一方で、アルバム全体の印象として、斬新さを感じたか、と言われると、そこまで強くは感じませんでした。まあ、毎回、新しいタイプの曲を聴かせてくれる彼らだけに、ちょっとやそっと、新しい音を取り込んだくらいでは、驚かなくなった、という面もあるのでしょうが。
また、メロディーに関しては、あくまでもポップ。ちょっと寂しげな、聴かせるメロディーが魅力的な作品が並んでいます。特に後半、「LOTUS FLOWER」や、ピアノが印象的な「CODEX」、アコースティックベースでゆっくりと曲を聴かせる「GIVE UP THE GHOST」など、メロディー主体の曲が並んでいますし、最後の「SEPARATOR」も、リズムパターンとベースラインが印象に残りますが、あくまでもポップなメロディーが耳に残るナンバーに仕上げています。
個人的には、パッと聴いた雰囲気だと「OK COMPUTER」に近いものを感じました。「LITTLE BY LITTLE」など、リズムパターンは新しいかもしれませんが、全体的な雰囲気的な点では、「OK COMPUTER」に並んでいても、不思議ではない感じはしますし。
そういう意味で、「衝撃的」という意味では薄味だった作品ですが、聴けば聴くほど、新たな魅力を感じ、随所におもしろさを感じさせるのはさすがといった感じ。わずか40分弱という短さも、まだ、彼らがこの方向性を模索中で、リリースできるレベルになった作品が少なかったということ、かもしれません。
次の傑作への場つなぎ的な、一歩・・・・・・なのかなぁ?とりあえず、まだまだこれからの可能性を感じさせる作品だと思いました。
評価:★★★★★
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