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2011年5月 8日 (日)

大人への応援歌

Title:ケツノポリス7
Musician:ケツメイシ

【送料無料】ケツノポリス7

そろそろ「ここ最近」といえないほどの期間になってきましたが、J-POPシーンでは、根拠もなく前向きだったり、抽象的な応援歌だったり、どうも地に足をついていないような、前向きソングが多くヒットを続けています。

下手に具体的な内容にしてターゲットを絞らない方が、多くのリスナーを獲得できる、という思惑かもしれませんが、実際は逆に、そういう曲は、誰の心にも響かない、ということになってしまっているのではないでしょうか?

ケツメイシの最新作もまた、そんな前向きソングが多く収録されています。しかし、彼らの歌詞は、そんな地に足をつけていないような前向きソングとは異なり、現実感ある歌詞が特徴的。そして、そんな中でも、今回は、もっと20代後半や30代といった社会人に向けたメッセージ性ある曲が多く収録されていました。

先行シングルにもなった「闘え!サラリーマン」などは、もっとも典型的ですが、タイトルそのままの「現実は戦場だ」もそうですし、「流れ星」なども、まさに現実に疲れた社会人に対する応援歌と言える歌詞が心に染みます。

もともと、彼らの歌詞のターゲットは、よくあるJ-POPのヒット曲のような、10代や20代前半ではなく、もっと上の世代を向いていましたが、今回の作品では、そんな傾向が、さらにはっきりとあらわれた作品になっていたと思います。

一方では、「君と僕の季節」みたいな、ベタなラブソングがあったり、「ランジェリーパブ」みたいな、ちょっと痛々しいユニークな曲もあったり。曲の面でも、テクノポップ風の「リディムドライバー」やダンスホール風の「叫び」、ケツメイシらしい、叙情性あふれる「伝えたいこと」があったりと、歌詞、曲両面でバリエーションがあり、70分を超えるフルボリュームながらも、最後まで飽きさせません。

ケツメイシは、「ケツノポリス3」が最高傑作で、その後、「5」まで下降線をたどり、「6」でまた上昇基調に・・・と思っていたのですが、その上昇基調は続いたようで、個人的には、傑作だった「3」「4」までとはいかないものの、ここ最近の作品の中では一番の出来だったと思います。彼らの実力を再認識したアルバムでした。

評価:★★★★★

ケツメイシ 過去の作品
ケツノポリス5
ケツノポリス6


ほかに聴いたアルバム

Single Collection/P-VINE YEARS /クレイジーケンバンド

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「せぷてんばぁ」から「てんやわんやですよ」までのシングルが発売順にならべられて、プラス、企画盤などに収録されたレア音源を加えたシングルコレクション。ユニークなのが、シングルに関しては、普通、この手のアルバムでは省略されそうな、「eye catch」や、次のシングル、アルバムのインフォメーションのトラックもそのまま収録されているのがうれしいところ(さすがにカラオケは収録されていませんが)。遊び心を感じる、ファンにはうれしいベスト盤です。

評価:★★★★★

クレイジーケンバンド 過去の作品
ZERO
ガール!ガール!ガール!
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CRAZY KEN BAND BEST 亀

MINT CONDITION

PLAYGROUND acoustic+/山本精一

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ROVOや羅針盤などでも活躍中の山本精一が、昨年7月に発売した「PLAYGROUND」の、こちらはアコースティックバージョン。もともとがフォーキーな作風の曲が多かったので、イメージが大きく変わったという感じはしなかったのですが、メロディーと歌詞がよりクリアになった印象が。不条理というか、虚無的というか、ちょっと不思議な歌詞と、意外とシンプルでメロディアスなメロディーラインが魅力的でした。

評価:★★★★

山本精一 過去の作品
PLAYGROUND

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