歌謡曲にも通じる魅力
Title:THE EARLY PERIOD OF FAIRUZ
Musician:FAIRUZ
アラブ世界で、絶大な支持を誇るレバノン出身の歌姫FAIRUZ(ファイルーズ)。1935年生まれの彼女は、1950年代からそのキャリアをスタートさせ、現在もなお、活発な活動を続けています。そんな彼女の最初期の作品を、音楽評論家の中村とうよう氏監修の元、まとめられたのが今回のアルバム。主に、彼女がそのキャリアをスタートさせた、1950年代の作品がおさめられています。
アラブ音楽については、何枚かアルバムを聴き、ここでも紹介したことがあります。その日本人の壺にはまるような、哀愁たっぷりのメロディーラインは魅力的に感じる一方、あまりに感傷を込めたようなそのメロディーは、ちょっと仰々しく感じる部分もあり、正直なところ、その壺がいまひとつわからない部分もありました。
しかし、この作品は、そんな私にとっても、しっかりと壺にはまるアルバムでした。彼女の初期の作品に関しては、シンプルなメロディーラインと、適度にこぶしの聴いたボーカルが魅力的。優しさと力強さを兼ね備えたようなボーカルもとても魅力に感じました。
ただ、そんな中で感じたのは、歌謡曲との共通性でした。もともと、アラブ系の音楽の、哀愁を感じさせるメロディーは、歌謡曲に通じるところがあるなぁ、と感じたのですが、彼女の作品に関しては、どこかレトロで懐かしい、同時代の歌謡曲と似た部分を多く感じました。
もともと、様々な国の音楽を拝借している日本の歌謡曲というジャンルだけに、アラブ音楽からの影響があったとしても不思議ではないのですが。それとも、どこの国でも、心に染み入るメロディーラインというのは共通するのでしょうか?
そんな訳で、非常に日本人にとっても親しみやすいメロディーが並んでいるアルバムだと思います。「ワールドミュージック」「アラブ世界の音楽」ということで、ちょっとした感じ、なじみのないようにも感じられますが、おそらく、聴いてみれば素直に楽しめる作品だと思います。気になる方は、是非。
評価:★★★★★
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