むしろ「スペシャルCD」が本編?
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THE BAWDIES:THIS IS MY SOUL (P‐Vine BOOKs)
著者:THE BAWDIES |
どんなミュージシャンでも、おそらく自身の音楽のルーツになったようなミュージシャンというのがあると思います。まあ、たまにルーツがまったくないように感じられるミュージシャンもいますが・・・。そんな中でも、THE BAWDIESほど、自身のルーツを表明しているミュージシャンも少ないかもしれません。で、そんな彼らの音楽的ルーツを紹介する本がリリースされちゃいました。タイトル通り、彼らのルーツとなるソウルミュージックを紹介した書籍。彼らが選曲したお勧めのソウルミュージックをあつめたスペシャルCDもついています。
ただ・・・肝心の本の方は、正直、かなり中途半端に感じました。本を開くと、いきなり彼らの写真が続いて、ソウルミュージックの紹介本という以上に、THE BAWDIESのファンズブックという要素が強い点にちょっととまどいも。そして、本編の方も・・・うーん、彼らの素直なソウルミュージックへの愛情は感じられるのですが・・・この本、対象となるのは誰??
THE BAWDIESのファンで、はじめてソウルミュージックに触れるような方にとっては、正直、ちょっと内容がディープすぎて不親切。この本を読んで、「で、誰のアルバムを聴けばいいの?」と、次の一歩に踏み出すためのガイドブックの役割を果たしていません。逆に、ディープなソウルリスナーにとっては、内容が軽くて物足りなさを感じるかも・・・。
ただ、そんな本の部分に感じた不満を一気に解消したのがスペシャルCDの方。こちらも、いわゆるレア・グルーヴと呼ばれそうな選曲で、有名な曲は入っていないのですが、どれも珠玉の名曲揃いでした。
特に、Vernon Garrettや、ここでも昨年リリースされたリイシュー音源を紹介したSpencer Wigginsのキュートなポップスが、実に素晴らしい!ポップな作風な曲が並ぶ前半とうってかわって、後半は、ソウルフルだったりファンキーだったり、より「黒い」作品が並び、こちらも実に魅力的。2,000円で発売されているこの本ですが、この値段は、このスペシャルCDのために支払ったと考えれば、十分お釣りがくるほどの内容でした。
そんな訳で、スペシャルCD目当てで、ソウルミュージックに興味がある方にはお勧めしたい作品。THE BAWDIESに興味がなくても、そのCDだけで、十分満足できる内容かと。
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