王道を抑えつつ新機軸も
Title:SCENT OF AUGUST
Musician:the band apart
フルアルバムとしては、ちょっと意外なことに約3年ぶりとなるthe band apartのニューアルバム。ミュージックシーンに確固たる地位を築きつつある彼らですが、今回の新作は、これまでの王道路線を踏まえつつも、いまなお新機軸を模索しようとする、成長し続ける彼らの姿を感じることが出来ます。
1曲目「photograph」や、タイトルもユニークな「Game,Mom,Erase,Fuck,Sleep」こそ彼ららしい作風となっていますが、続くインスト曲「AG」を挟んでの「light in the city」は、いきなりノイジーなギターが鳴り響く、よりロック色を強く感じる作品に。
「Rays of Gravity」も、よりパンク色が強い作品になっていますし、なにより一番インパクトが大きかったのは「WHITE」でしょう。サイケ色も強い、広大なスケールを感じさせるナンバーは、the band apartの新機軸とも言える作風。彼らのバンドとしてのさらなる成長を感じます。
ただ、全体としては、そんな新機軸も挟みながらも、きちんとthe band apartとしての作品になっているのは、彼らの個性がしっかりとアルバムを通じて感じられるから。凝ったメロディーが実に心地よく耳に響く「blind」をはじめ、彼ららしいファンキーでテンポのよいバンドサウンドのナンバーも何曲も並んでいます。
久しぶりのフルアルバムなのですが、今回もまた、彼らの実力をまざまざと見せつけてくれた傑作だったと思います。the band apartというバンドは、私たちに、まだまだ様々な姿を見せてくれそうです。
評価:★★★★★
the band apart 過去の作品
Adze of penguin
shit
the Surface ep
ほかに聴いたアルバム
Panty&Stocking withGarterbelt The Original Soundtrack
もともと、昨年秋、BS日テレやテレビ神奈川をはじめとする独立UHF局を中心に放送されていたアニメのサントラ。m-floの☆Taku Takahashiが手掛けているということで気になって聴いてみたのですが・・・これがサントラという枠組みを超えて、なかなかな作品になっていました。
基本的には、今風のエレクトロチューンが中心。ここらへんはさすがなのですが、リスナーの壺を抑えたようなポップな作品が多く、真新しさみたいなものを感じない半面、いい意味で聴きやすくまとめあげていました。いわゆるアニソン的な枠組みになるのでしょうが、それを超えて、エレクトロ好きなら、かなり気に入りそうなアルバムかも。
評価:★★★★
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