待望の復帰作!
Title:MUSICMAN
Musician:桑田佳祐
昨年7月、初期の食道がんが発覚し、音楽活動を休止。昨年10月に発売が予定されていたこのアルバムも、2月末まで延期されました。
そんな大きな病気を乗り越えた彼。その復帰の場となった紅白でのステージは、いつも通り元気で歌いまわる彼でしたが、まだ病後の雰囲気を残すその姿に、ちょっと心配になったりもしてしまいました・・・
・・・・・・が、そんな中、発売されたニューアルバムは、ある意味、いままでの通りの桑田佳祐。もちろん大半の曲が病気発覚の前につくられた曲ということもあるのですが、「老け込む」という言葉から最も遠い姿を、このアルバムからは感じました。
ソウルやロックンロール、ポップなどの要素を自由自在に動きまくり、中には「銀河の星屑」のようなテクノポップ的な要素も盛り込んできたりして。「現代人諸君!!」みたいな、これぞ桑田節といった感じの曲もあれば、鎌倉賛歌の「古の風吹く杜」などは、非常に爽やかなナンバーに仕上げてきたり。幅広いジャンルの曲調なんだけども、アルバムを通じて一本の桑田佳祐らしさが貫かれているので、アルバムとしてバラバラな印象も抱かないし、また、聴いていて、最後まで飽きません。
歌詞も「いいひと~Do you wanna be loved?~」のような強烈な、でもどこかユニークな社会批判を取り込んだ歌詞だったり、ちょっとユニークな視点の男女関係を描いた歌詞がおもしろい「本当は怖い愛とロマンス」だったり、1曲1曲がバラエティーに富んで、かつ視点がユニーク。「めざましテレビ」のテーマ曲になった「EARLY IN THE MORNING~旅立ちの朝~」なんて、朝にピッタリな爽やかそうな曲だけれども、内容は、朝おきたらむらむらして、そのまま奥さんとやっちゃうという強烈なエロ歌詞。これが毎日、爽やかソングのふりをして朝のテレビ番組で流していたというのが・・・(笑)。
アルバム全体としては、ロック系で統一されていた前作「ROCK AND ROLL HERO」と異なり、様々なタイプの曲がごった煮にされた感じ。サザンの活動休止後、初のソロなだけに、好きな音楽を、好きなだけつくってつめこんだ、といったように感じるとともに、彼の創作意欲の強さを感じさせるようなアルバムでした。次のソロアルバムは、意外と近いうちに聴けるかも??
その充実な内容にお腹いっぱいのアルバム。でも、最後まであっさりと聴けてしまうのはさすがといった感じ。文句なしで、今年を代表する傑作の1枚だと思います。
評価:★★★★★
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