リスナーを飲み込むような
Title:真昼のストレンジランド
Musician:GRAPEVINE
GRAPEVINEの新作が素晴らしい!!
・・・とはいっても、大抵GRAPEVINEのアルバムは傑作が続いているのですが、そんな彼らの傑作群の中でも、このアルバムは、さらに頭一つでているような傑作に仕上がっているのではないでしょうか。
なにより今回は、相当アレンジに凝った作品だそうで、聴きこめば聴きこむほど新しい発見が出てきて、その音の世界にのめりこんでしまうような作品だと思います。「This town」はポップなギターロックと思いきや、妙にソウルテイストのピアノの音が心地よかったり、「Neo Burlesque」ではファンキーなベースが微妙なアクセントになっていたりと、ひっかかりのあるポイントがたくさんその音の世界に含まれているように感じました。
また、その独特なグルーヴ感も相変わらず。「ミランダ」「Sanctuary」、さらに「夏の逆襲」など、ソウルやサイケなどの要素を取り入れた、リスナーを飲み込むような彼ららしい独特のうねりがリスナーを飲み込みます。
そんなアレンジに凝った作風でありながらも、全体な雰囲気としては、むしろ明るく、ポップにまとまっているように感じました。特にリードトラックになっている「真昼の子供たち」など、かなりポップで爽やかな作風に仕上がっていて、十分なヒットポテンシャルがありそうな作品に仕上がっていました。
また、歌詞も全体的にわかりやすくなった印象が。いつもの文学的な田中和将の作風そのままに、歌詞の主張が比較的ストレートに伝わってくる曲が多かったような印象を受けました。
さらっと聴いた感じだと、ポップに聞き流せてしまうのに、聴きこめば聴きこむほど、その世界にはまっていく・・・ある意味、実に味わい深い傑作だったと思います。グルーヴを聴かせるヘヴィーな作品と、メロディー重視のポップな作品を、初期からほぼ交互に作ってきた彼らでしたが、この作品は、その両者を上手く融合させた、デビューから14年、そろそろベテランの域に入ってきた彼らだからこそ出来た傑作だと思います。
今年を代表する傑作の1枚、になりそうな作品。まだまだこれからもGRAPEVINEからは目を離せなさそうです。
評価:★★★★★
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