最後まで第一線
Title:HOLD ON TIGHT
Musician:SOLOMON BURKE&DE DIJK
60年代から70年代にかけて一世を風靡し、ローリング・ストーンズをはじめ、様々なミュージシャンへ影響を与えたソウルシンガー、ソロモン・バーク。昨年は、日本に初来日を果たし、元気な姿でパワフルなステージを見せてくれました。しかし、10月に突然の訃報。その偉大な生涯に幕を降ろしました。
昨年リリースしたアルバム「Nothing's Impossible」は、こちらもソウルミュージック界を代表するプロデューサー、ウィリー・ミッチェルがプロデュースを手がけて話題となりました。昨年1月に急逝したウィリー・ミッチェルの遺作にもなったこの作品。ソロモン・バークの「遺作」として紹介されることも少なくないのですが、実は彼、その後もさらに1枚アルバムを制作していました。
オランダのルーツ・ロック系バンドDE DIJKと組んでリリースされた、ソロモン・バークの遺作となってしまったこの作品。彼の最後も、このバンドとのライブを行うためオランダに向かう飛行機の中だったそうです。最後の最後まで第一線で活躍を続けた、ということなんですね。
ただ、こってりとしてスウィートなソウルミュージックだった前作の延長線を期待すると、少々肩透かしを感じさせる作品だったように感じます。彼の色っぽくパワフルなボーカルはもちろん健在なのですが、全体的にソウルテイストは薄めの作風になっていました。
実際、「NO ONE」や「TEXT ME」のような、ブルージーな哀愁を感じるギターが前面に出ていますし、北欧風の「MY ROSE SAVED FROM THE STREET」やちょっとカントリーテイストの「DON'T DESPAIR」や、ロック色の強い「THE BEND」など、ソウルに限らず、様々な音楽の要素を強く感じます。
また、パワフルなソロモン・バークのボーカルの前に、DE DIJKの演奏は、ちょっと薄味にも感じました。ちょっとこの偉大なボーカリストを支えるには、ちょっと物足りなさを感じる部分も・・・そういう意味では、傑作だった前作と比べてしまうと、惜しい感じの作風になっていたような感じがします。
とはいえ、「GOOD FOR NOTHING」のメロなどは実に絶品。やはりソロモンのボーカルは実に魅力的で、気になる方はチェックして損のない作品だと思います。そして何より、最後の最後まで、国や人種、音楽のジャンルを問わず、ミュージシャンとのコラボを行ったソロモンの、そのミュージシャンとしての挑戦心はすごいなぁ、と感じました。本当に、昨年の彼の急逝はただただ残念です・・・あらためて、偉大なるソウルシンガーの冥福を祈りたいと思います。
評価:★★★★
SOLOMON BURKE 過去の作品
Nothing's Impossible
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