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2011年3月 1日 (火)

移民たちの叫び

Title:vingt d'honneur(邦題 ライヴ~栄光の20年~)
Musician:Mouss et Hakim

ライヴ~栄光の20年~

例のごとく「ミュージックマガジン誌」2010年の年間ベスト10ワールドミュージック部門で3位に入ってきていたので、気になって聴いてみたアルバムです。

彼ら、Mouse et Hakim(ムース・エ・ハキム)は、フランスのアルジェリア系移民であるムスターファとハキムの2人によるユニット。もともとは、ゼブダというバンドで活動しており、フランスのチャートで1位を獲得するなど人気を獲得していました。

その活動20周年を記念してリリースされた2枚組となるライブアルバムがこちら。フランスは、歴史的に移民を広く受け入れてきたものの、その社会的な地位は決して高くなく、また、最近ではサルコジ大統領の排斥的な移民政策により、厳しい立場に立たされる移民も多いみたいです。

そんな中、彼らは、南仏オクシタニアで、移民たちの間で長い間、歌い継がれてきた音楽を、今風に解釈し歌っています。雰囲気としては、アラブ風の音楽に、ヨーロッパ系のトラッド音楽を混ぜた感じ。まさに、ヨーロッパの文化とアフリカの文化を織り交ぜたような音楽は、移民である彼らだからこそ生み出しうる音楽、なのでしょうか。

で、そんな彼らの音楽は、簡単に言ってしまうと、フランス版ソウル・フラワー・ユニオン。雰囲気もミュージシャンとしてのスタンスも似ているものもありますし、音楽的にも、様々な音楽のごった煮というスタンスは、SFU同様。アイリッシュ・トラッドなどの要素を強く感じる曲もあり、間違いなく、ソウル・フラワー・ユニオンのファンなら気に入りそう。

特に、「Bella Ciao」などの伝統的な革命歌をカバーするスタンスなどの共通項もあります・・・って、「Bella Ciao」は、ソウル・フラワー・ユニオンもカバーしていますね。

そして、ライブはそんな彼らのスタンス関係なく盛り上がれそう、というのもSFUと共通するものを感じます。このライブ盤から伝わってくる会場の熱狂は、フランスの移民問題云々を知らなくても、確実に伝わってくるものがあります。

唯一残念なのは、歌詞カードや対訳がなく、歌詞の内容がわからないこと・・・。ミュージシャンのスタンスがスタンスだけに、対訳をつけてほしかったけど、やはり厳しいのかなぁ?それだけがちょっと残念。でも、もし彼らが来日したらライブ行ってみたいなぁ。もちろん、その時の対バンはソウル・フラワー・ユニオンで!盛り上がると思うんだけどなぁ~。

評価:★★★★★

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