大ブレイク
Title:THE RED MAGIC
Musician:AK-69
いま、最も「売れている」ラッパーの一人。前作「THE CARTEL FROM STREETS」でベスト10入りをしてきましたが、なんと本作では、初登場でベスト3入り!その人気は衰えることを知りません。
ただ、数多いラッパーの中で、彼がこれだけ売れている、というのがちょっと不思議な感じもします。正直なところ、彼の個性がずば抜けている訳でもなく、スキルがずば抜けて高い訳でもありません。もちろん、実力のあるラッパーだとは思うのですが、彼以上の実力を持ったラッパーも、まだまだ数多く日本にもいます。
でも、おそらく、ほどよくハードだけど、ポップで聴きやすい面も強いという彼のスタイルが、広い層に受けているのかなぁ、という印象を受けます。特にここ最近、ヒットチャートに入ってくるようなラップソングの多くは、ラップとは名ばかりのポップス。歌詞も、なぜか無責任に前向きな浮ついた歌詞ばかり。そんな自称「HIP HOP」に飽き飽きとしているリスナーにとって、AK-49の曲というのは、ポップで聴きやすい半面、ハードコアの要素がメインになっていて、聴いた後、「HIP HOPを聴いた!」という満足感を得られます。すっかり歌謡曲化した最近の「HIP HOP」に飽き飽きしたリスナーが、彼を支持しているのではないでしょうか。
前作同様、典型的なアメリカのHIP HOPのフォロワー的な位置から抜け出せていないのですが、それもまた、ある種のわかりやすさとして、プラスにも働いているようにも思いました。
実際、ANARCHYをフューチャーした「I.M.P.」や、MACCHOをフューチャーした「I DON'T GIVE A FUCK」などは、かなりカッコいい作品に仕上がっていましたし、続く「SOLDIERS SONG」もテンポのよいマイクリレーが魅力的な作品になっていたと思います。
名古屋出身というのも、個人的にはうれしいポイント(笑)。残念ながら、前作のような、「名古屋」を全面に押し出したような曲はなかったのですが、ラップのところどころに名古屋弁が混じっているのがうれしいところです。
まだまだAK-69の勢いは続くのでしょうか?彼のブレイクを機に、いろいろなタイプのラッパーがもっとブレイクすればうれしいんですけどね~。
評価:★★★★
AK-69 過去の作品
THE CARTEL FROM STREETS
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