これが最後の「A.I.」?
Title:THE LAST A.I.
Musician:A.I.
A.I.というミュージシャンは、私の印象としては、ボーカリストとして文句ない実力を持っていながら、ちょっと個性に欠けているなぁ、という印象がありました。上手いボーカリストなだけに、いろいろな曲を歌いこなせてしまうため、逆にA.I.だけが出来るような、突出した個性、みたいなものが薄いなぁ、ということを感じていました。
今回のニューアルバムの特徴は、様々なミュージシャンとのコラボレーションがメインとなっているということ。安室奈美恵や加藤ミリヤなど日本勢のみならず、Snoop DoggやBoyzIIMen、さらにChaka Khanといった海外の大物とのコラボレーションも実現させています。
A.I.としての個性が薄いなぁ・・・と感じる中、このコラボレーションは、一種の開き直りというか、「曲がよければそれでいいよね!」という主張をどこか感じました。事実、今回収録された曲は、A.I.の個性が云々なんてことを言っていちゃもんをつけるのもバカらしくなるような名曲が並んでいます。
1曲目の安室奈美恵とのコラボ「FAKE」は2人のボーカリストによるリズミカルなボーカルが心地よい傑作。そしてなんと言っても聴き所は5曲目から7曲目ではないでしょうか。マイケル・ジャクソンの「This Is It」ツアーのバックボーカルに起用されたことで話題となったJudith Hillとのデゥオにはじまり、BoyzIIMenにChaka Khanとのデゥオ。いずれの曲もボーカルの力が要求されるバラードナンバーなのですが、これら海外の大物に対してまったく引けをとっていません。
逆に個性的なボーカリストとコラボすることによって、A.I.としての個性を浮かび上がらせているようにも感じられる今回のアルバム。確かに、様々なミュージシャンとのコラボによって、アルバムとしての統一感はちょっと薄かった感じもします。ただ、それでは単なる様々なミュージシャンが集まったオムニバス盤のようなアルバムか、と言われるとそうではなく、しっかりとA.I.のオリジナルアルバムとしてひとつの作品になっているのは間違いないように感じました。
ところでちょっと気になるのは今回のアルバムタイトル。「THE LAST A.I.」と名づけられた今回のアルバム。決して、これでA.I.はミュージシャン引退・・・という訳ではないそうですが。ひょっとしたら「A.I.」名義で歌うのはこれが最後になるのかなぁ??ちょっと気にかかってしまうタイトルでした。
評価:★★★★★
A.I. 過去の作品
DON'T STOP A.I.
VIVA A.I.
BEST A.I.
ほかに聴いたアルバム
14年の土曜日/ホフディラン
7月に行われた14周年記念ライブの模様を収録したライブ盤・・・って、昨年も13周年のライブ盤出したよね・・・。カジヒデキがゲストで参加したり、ライブ会場は終始楽しげ。雰囲気もしっかりと伝わってくるのですが、やはり早くオリジナルを聴きたい!オリジナルを待ちきれないファンのためのファンズアイテムといった感じ。
評価:★★★
RAVO/ROVO
音に圧巻・・・というよりは、全体的に意外とポップな雰囲気に出来上がっていたような印象があります。特に「TANGER」のパーカッションのリズムはとても楽しげ。やはりライブで聴きたいな。後半「RMD」「SINO+」はスペーシーな雰囲気に、曲の広がりを感じさせる曲。こちらもライブで体験したい音かも。彼らのアルバム、やはりCDよりもライブでこの音をあびたい、と思ってしまいます。いや、CDで聴いても十分楽しめるんですけどね~。
評価:★★★★★
ROVO 過去の作品
NUOU
ROVO Selected 2001-2004
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