むしろ絶頂期なのでは??
Title:Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2
Musician:宇多田ヒカル
昨年12月のライブを最後に活動休止となった宇多田ヒカルが、最後にリリースした自身2枚目となるベストアルバム。同時にUtada名義のベストアルバムをレコード会社が勝手に発売したため、彼女がTwitterで遺憾の意を表明し、話題になったりもしました。
今回の活動休止に関しては、いろいろな憶測が流れ、「ネタ切れだ」なんてことを言う人もいました。しかし、このベスト盤を聴いて、彼女のネタが尽きてきた、なんて感じる人はいないのではないでしょうか。ここ最近の楽曲を聴く限りにおいて、社会現象となるほど売れまくったデビュー当初よりも、むしろ勢いを感じさせるような曲が並んでいます。
ここ最近の曲を聴いて感じるのは、爆発的に売れた直後の変なプレッシャーから開放されて、自由に曲作りをしているなぁ、ということでした。「本物だ」みたいなことを言われて、本格的なR&Bを要求されたデビュー当初と比べて、ここ最近の曲は、アメリカのR&Bシーンの潮流からはずれたポップなメロディーラインは、どこか懐かしさもあり、むしろ日本的なものすら感じられます。
このベスト盤は2枚組になっていて、2枚目の方には新曲も収録されていますが、この新曲も実にいい!先行シングルとなった「Goodbye Happiness」は、爽やかながらどこか切ないメロディーが耳に残りますし、CMソングとしても話題となった「Can't Wait 'Til Christmas」も、悲しげなメロディーが胸に染みます。やはり彼女は、稀代のメロディーメイカーだなぁ・・・と、新曲を聴いてもあらためて感じます。
それだけに、このタイミングでの活動休止というのはちょっと残念なのですが、活動休止中にしっかりと充電して、さらなる傑作を産み出してくれる、はず。このアルバムの売上が、前のベストアルバムに比べて大きく落ち込んだのはすごく残念なのですが・・・これだけの名曲を次々リリースしているのですから、また、活動再開後は売上も上向きになるのでは??活動再開前最後のベスト盤ながらも、いつか来る活動再開後の作品が楽しみになってくる内容でした。
評価:★★★★★
宇多田ヒカル 過去の作品
HEAT STATION
This Is The One(Utada)
ほかに聴いたアルバム
acoakko debut/MY LITTLE LOVER
2枚組となるMY LITTLE LOVERのアルバムは、アコースティックアレンジでのセルフカバーアルバム。そのうち1枚は、2年前に配信限定で発売された「acoakko」のCD化。もう1枚は、今回はじめて発売される新作となります。
で、その2枚なのですが、内容は断然、「acoakko」の方が上。軽快な「Free」に、ボッサ風の「悲しみよ今日わ」など、原曲の雰囲気を保ちながらも、新たなる味付けを加えて、原曲とはまた違った魅力を感じさせてくれるカバーになっています。一方、今回の新作は、確かにAKKOの歌声はアコースティックにあっているなぁ、とは思いながらも、原曲のイメージからほとんど変わらないアレンジがほとんどで、アコースティックによるセルフカバーという特色があまり生かせていないような印象が・・・。純粋に、曲としてはもちろん名曲揃いなのですが・・・。
評価:★★★★
MY LITTLE LOVER 過去の作品
アイデンティティー
そらのしるし
Best Collection-Complete Best-
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