名曲もたくさん。珍曲も・・・(笑)。
以前、紹介した、徳間ジャパンが管理するレーベルが昭和期にリリースした作品を集めたオムニバスアルバム「Groovin' 昭和」。9月から11月にかけてリリースされていますが、今回紹介するのは、10月に発売された、2枚のアルバムです。
Title:GROOVIN'昭和4~自衛隊に入ろう
タイトル曲「自衛隊に入ろう」は、おそらく、音楽ファンにはよく知られた高田渡の名曲なのですが、有名な歌詞の・・・
「日本の平和を守るためにゃ
鉄砲やロケットがいりますよ
アメリカさんにも手伝ってもらい
悪い ソ連や中国をやっつけましょう」
(「自衛隊に入ろう」より 作詞 高田渡)
「アメリカ」「ソ連」「中国」の部分に、自主規制の「ピー」音が・・・!!
なにをチキンなことをやっているんだ!と最初、腹立たしく感じたのですが、この音源、1983年のスタジオ録音を初CD化ということで、もともとの音源に自主規制音が入っていたみたいです。それなら、このオムニバス盤には罪はないですね・・・。
さて、この「4」は、基本的にフォークの曲を中心におさめた作品。いままでの「1」から「3」は名前も聞いたことない人たちの曲が多かったのですが、こちらは高田渡からはじまり、西岡恭蔵、あがた森魚、南正人、友川かずき、友部正人に喜納昌吉と、有名なミュージシャンの曲がズラリと並んでいます。
また、同じく「1」から「3」は、「昭和のレアグルーヴを聴くぞ」と構えた姿勢で聴かないと(笑)あくの強い曲に抵抗感を覚える曲ばかりでしたが、「4」におさめられている曲は、今の耳で聴いても、すんなりと抵抗感なく「いい曲だな」と思える曲が多く、純粋に、昭和の名曲を探すためのオムニバス盤としてもお勧めできる作品です。
もっとも、その中でも強烈なナンバーもあり、特に、友川かずきの「死にぞこないの唄」は、その歌詞の怖さに、夜一人ではとても聴けません(^^;;他にインパクトある歌詞としては金森幸介の「もてないおとこたちのうた」。早川義夫のカバーなのですが、歌詞はまさにタイトル通り(苦笑)。サンボマスターあたりがカバーしてくれたら・・・なんて思ってしまいます。
他にもはちみつぱいの「塀の上で」やあがた森魚の「サルビアの花」などが、個人的には気に入りました。全体的に名曲が多く、ある意味聴く人を選んだ「1」から「3」とは異なり、昔の名曲やフォークソングに興味のある方に、文句なしにお勧めできるオムニバス盤。まだ知らぬ名曲の数々を、このアルバムで聴いてみませんか?
評価:★★★★★
Title:GROOVIN'昭和5~ぐでんぐでん
こちらはソウル、ブルース、ファンクな作品をメインに収録しています。最近のミュージシャンは、やはりリズム感がよくなったのでしょう、ソウルやファンクも、実にリズミカルに自然に歌っているミュージシャンも多くなりましたが、正直、この時期の曲を聴くと、野暮ったさがそのままで、どこか手探り状態。ただ、その歌謡曲的な泥臭さが、ひとつの魅力といえば魅力なんですが(笑)。
そんな中、よかったのが上田正樹とSOUTH TO SOUTHかなぁ。ブルージーな楽曲が、耳に残ります。ユーモラスな歌詞が印象的な「俺の借金全部でなんぼや」も、ある意味、ブルース的???(笑)
他にも、ファンキーなインストチューンが魅力的なSooo Baad Revueの曲もなかなかよかったですし、ちょっとサイケな要素も加えた、めんたんぴんのブルースロック「今日も小松の街は」は名曲!というか、調べたら、めんたんぴんって、元THE HIGH-LOWSのキーボード、白井幹夫がいたバンドなんですね(!)。意外なつながりにビックリです。
ラストの「SOULチョンワ」は、どおくまんのギャグ漫画「嗚呼!!花の応援団」のテーマ曲だそうで、チープな雰囲気の珍曲(笑)。ある意味、聴き所になっています。
上にも書いたのですが、「3」と同じく、まだ本場のソウル、ブルース、ファンクを手探り状態で取り入れているのが、どこか初々しくももどかしく感じられる曲が並んでいます。でも、それもまた魅力に感じられるオムニバス盤でした。
評価:★★★★
癖が強く、リスナーを選んだ「1」から「3」に比べると、もし、今リリースされたも、話題になりそうな名曲も多く、そういう意味では、どちらも興味があれば、是非チェックしてみてもおもしろいのでは?いわゆる誰もが知っているヒット曲は少なめなのですが、魅力ある名曲も多く収録されていました。
ほかに聴いたアルバム
Golden Circle/Golden Circle of Friend
寺岡呼人を中心に、様々なミュージシャンたちが集まったライブイベント、Golden Circle。そこに参加したミュージシャンたちにより出来た曲を集めたコンピレーションアルバムです。とにかく、参加ミュージシャンがめちゃくちゃ豪華。ユーミンに小田和正、ゆず、斉藤和義、奥田民生、ミスチルから桜井と鈴木英哉などなど。
どの曲もミュージシャンたちがとてもリラックスして、楽しげに曲を歌っています。そういう意味では、聴いていてこちらも楽しくなってくるような素敵なアルバムだと思います。ただ、一方、これだけ豪華なミュージシャンが集まった割りには、誰かの持ち歌を歌うだけだったり、いまひとつ、お互いの個性を融合したコラボがなかったり。そういう意味ではちょっと惜しい感じもするアルバムでした。
評価:★★★★
R.A.M/WAGDUG FUTURISTIC UNITY
THE MAD CAPSULE MARKETSのKYOによるプロジェクトの3作目。基本的に前作と同様(というか、マドカプと同様)、ハードコアな爆音+サビでは、ふっと抜けるようなポップなメロというスタイル・・・・・・なんですが、さすがにちょっと飽きた(^^;;やはり爆音の快感は、このアルバムでも健在で、最初は素直に楽しめるのですが、後半になると、同じパターンの曲ばかりで、やはりちょっと・・・。もうひとひねりが欲しいんですが・・・。
評価:★★★
WAGDUG FUTURISTIC UNITY 過去の作品
HAKAI
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