モーサム復活!!!
Title:STRUGGLE
Musician:MO'SOME TONEBENDER
正直言うと、ここ最近のMO'SOME TONEBENDERの作品については、あまり期待していませんでした。確かに、1曲2曲カッコいいナンバーはあるのですが、アルバム全体としては平凡な感じ。一番最初に彼らのナンバーを聴いたのは「echo」だったのですが、その時に感じた衝撃が忘れられず、いままでアルバムはすべて聴いています。ただ、昔のアルバムで感じたような衝撃は、ここ最近の作品からはほとんど感じられませんでした・・・。
このアルバムも、1曲目「Hammmmer」は爆音+打ち込みという楽曲で、確かにその音に衝撃を感じるような名曲でした。ただ、最近の彼らは、序盤にこそ名曲を1、2曲聴かせてくれるのですが、その後は徐々に尻つぼみというパターンが多く、この段階でも、正直、このアルバムには期待していなかったのですが・・・・・・。
しかし、曲を聴きすすめるにつれ、不安は消え、期待のみが残りました。
MO'SOME TONEBENDERが傑作を連れて帰ってきた!!
そう確信できるアルバムを、ようやく聴くことが出来ました。
このアルバムを気に入ったのは、中盤「教祖様はスレンダー」(すごいタイトルだな・・・(^^;;)を聴いたあたりから。デビュー当初のモーサムを彷彿とさせる、轟音ギターが鳴り響いたと思えば、ピタリと止んで静寂が支配する、いわば静と動との対比が見事なナンバー。かつて彼らのサウンドに衝撃を受けた時のことを思い出しました。
この曲をはじめとして、この作品は実にバラエティー豊か。前半は「youth」「けだるいDays」などメロディアスでポップなナンバーが並んでいて、リスナーを惹きつけます。
バンドが、その本質をむき出しにするのは後半から。「教祖様はスレンダー」からはじまり、バンドサウンドをこれでもかというほど前面に押し出したSONIC YOUTHのカバー「PURR」に、単調なメロがインパクトのあるパンキッシュな「アイデンティティ」、ギターリフ主導で曲が進むロックンロールチューン「Black In,Black Out」と続きます。
ダイナミックなバンドサウンドと無機質なピアノが印象的なインストチューン「七月二十日」に、最後は、無秩序が曲を支配するサイケデリックなナンバー「Kingdom Come」は、そのサウンドに思わずゾクゾクっとしてしまいました。
ある意味、モーサムとしての活動の集大成にも感じられる今回の作品。前作「SING!」ではニューウェーヴ方面に走ったり、いろいろと迷走しているようにも感じられましたが、そのすべてが彼らの糧になっていたんだなぁ、ということを遅ればせながらも実感させられる傑作でした。
個人的にはやはりモーサム復活!と叫びたい傑作。あらためて彼らの実力を実感できる作品でした。
評価:★★★★★
で、このアルバムに先立って、レンタル限定でミニアルバムがリリースされていました。こちらも、もちろん事前にレンタルして聴いてみましたが・・・・・。
youth/MO'SOME TONEBENDER
「STRUGGLE」に収録されている「youth」や、配信限定で発売された「Bluebird is Dead」の他、ライブ音源が収録された作品・・・なのですが、このライブ音源が酷い(苦笑)。音は完全に割れていて、確かに会場のパッションは伝わってくるのですが、ファンでも聴きとおすのが厳しいのでは?まあ、正直、これじゃあ売り物にはならないなぁ、と思う反面、「STRUGGLE」のプロモーション的なアルバムに使用するのも厳しいのでは?と思ってしまいます。かなり熱心なファン以外にはレンタルでも全くお勧めできない作品です。
評価:★★
MO'SOME TONEBENDER 過去の作品
C.O.W.
SING!
ほかに聴いたアルバム
ADVENTURE/monobright
BEAT CRUSADERSを解散させたばかりのヒダカトオルの突然の加入で話題となったmonobright。こちらはヒダカトオル加入前最後のオリジナルアルバム。いままでのひねくれポップはそのままながらも、エレクトロやレゲエ、サイケロックなどの要素を加味したサウンドは、新たな彼らの音楽性の模索を感じます。タイトル通り、「挑戦心」豊かな作品。アルバムの出来自体は若干地味なので、このアルバム自体は万人にお勧めというタイプではないのですが、次の傑作のための鍵となる、重要な作品だと思います。
評価:★★★★
monobright 過去の作品
monobright one
monobright two
RAZZLE DAZZLE/BUCK-TICK
前作「memeonto mori」も、ポップな作風だったのですが、本作も、かなりニューウェーヴテイストでポップな作風。ただ、それでも妖艶な雰囲気の曲が多く、BUCK-TICKらしさもきちんと出ていた点、ベテランバンドとしての懐の深さと、確固たる個性を感じさせる作品でした。
評価:★★★★
BUCK-TICK 過去の作品
memento mori
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