予想外??
Title:KIMONOS
Musician:KIMONOS
ZAZEN BOYSの前作から2年強。向井秀徳が、次にどんな作品をリリースするか待ちわびていたところに届いたのが、LEO今井とのユニット、KIMONOSとしての新作でした。
LEO今井の作品に、向井秀徳が参加していたこともあり、そういう意味では十分ありえたユニットとも言えるかもしれません。ただ、どちらかというと和風で、どこか無骨さのある向井秀徳と、洋風でスタイリッシュというイメージがあったLEO今井。ある意味、この組み合わせというのは、予想外でした。
しかし、この新作というのが、2人の個性が見事にマッチした、素晴らしい作品に仕上がっていました。
基本的に作品は、ニューウェーヴの要素が強い、打ち込みをメインとして構成された作品。音数は出来る限り削ぎ落とされているため、ひとつひとつの音に一種の緊迫感があります。大きな括りでは、ZAZEN BOYSとしての最新作「ZAZEN BOYS IV」と同じ方向に、いまだ向井秀徳の興味がいっているんだな、ということを感じさせます。
そして、向井秀徳とLEO今井という2つの個性がそのままあわさったような作品は、どこか無国籍なテイストを感じます。アフロビートにTALKING HEAD風の雰囲気を感じる「No Modern Animal」や、ファンキーなベースが特徴的な「Mogura」、「Almost Human」ではどこかジャジーな要素も感じます。さらにラストの「Tokyo Lights」では、ガレージロック風のギターが鳴り響いています。
一番おもしろかったのは「Soundtrack To Murder」でしょうか?和風な向井秀徳のボーカルパートと、一転スタイリッシュな雰囲気になるLEO今井のボーカルパートの対比が実にユニーク。2人の個性を足して2つで割るのではなく、足しっぱなしにしているKIMONOSのおもしろさが感じられました。
また、全体的には、ポップな作風に仕上がっているのも、このアルバムの大きな特徴のように感じました。ZAZEN BOYSは、ある意味、向井秀徳が好きにやっている・・・というと響きがいいのですが、彼が暴走してしまっていると感じる点もあるのも事実でした。
しかし、このアルバムでは、テクノポップ風の「Miss」をはじめ、LEO今井のボーカルも大きな要素となっているのでしょうが、いい意味で、必要以上に癖のない、ポップで聴きやすい作品も並んでいました。
向井秀徳とLEO今井、ちょっと予想外の組み合わせで、最初、ビックリしたのですが、出てきた音楽は、予想外の相性の良さ・・・というよりも、合わないような部分も、合わないままで作品として出してしまっていて、それが結果として逆に音楽の面白さを増している、そんなアルバムだったように感じました。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
ベリー・ベスト・オブ・佐野元春 ソウルボーイへの伝言/佐野元春
デビュー30周年を記念してリリースされたベスト盤。「アンジェリーナ」「ガラスのジェネレーション」「サムデイ」「約束の橋」などといった代表曲を卒なく収録し、1枚におさめています。彼くらいのキャリアの持ち主だと、ベスト盤というと、ともすれば2枚組3枚組になりがちなところを、1枚にまとめてくれた点、はじめの1枚としてはうれしいところです。
評価:★★★★★
Hello!"Z"/ねごと
全員、若干19歳という女性4人組ロックバンド。若さから来る勢いみたいなものを感じられます。楽曲はポップなメロディーがインパクトのあるギターロックなのですが、如何せん、チャットモンチーに似ている部分が強いのが残念なところ。チャットモンチーよりも、ヘヴィーなバンドサウンドを聴かせる部分もあるのですが・・・。実力はあると思うので、今後、いかに彼女らしさを出せるか、注目したいところです。
評価:★★★★
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