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2011年1月 2日 (日)

2人の主人公を軸に進む物語

Title:少年少女
Musician:中村中

少年少女

中村中のニューアルバムは、一種のコンセプトアルバムになっています。「家出少女」と「不良少年」という二人の主人公をテーマとしていて、1曲目「家出少女」から聴くことにより、アルバムは「家出少女」の物語となり、最後「不良少年」から聴くことにより、アルバムは「不良少年」の物語となる内容・・・になっているそうです。

「家出少女」「不良少年」、どちらもある意味、社会の中の規範から外れた人たち。このアルバムで描かれているのは、そんな社会の中心からはずれた人たちが、必死で生きようとする姿でした。

特に、1曲目「家出少女」、最後の「不良少年」から聴きすすめた場合、両者が出会うであろう「人間失格」の歌詞が印象的。

「どこまでも青いから 死に方がわからない
止まらない涙の味がする しょっぱいね

人の間で生きる事が 息を殺す事ならば
私は向いていないようだ 苦しい それでも生きているなんて」

(「人間失格」より 作詞 中村中)

社会の中でやりきれないものを抱えながらも、必死で生きている人たちの姿が、この曲にはありました。

また、そんな歌詞の世界を繰り広げるメロディーは、実に昭和歌謡曲的。それも、クレイジーケンバンドのように、レア・グルーヴとして昭和歌謡曲を捉えているというよりも、そのやさぐれた世界を表現しているのは、場末のキャバレーか酒場で歌われているような歌謡曲そのもの。ちょっと中島みゆきのような雰囲気を感じつつ、アングラな雰囲気もかもしつつ、歌詞とメロディーがピッタリとマッチしています。

インパクトという面では前々作「私を抱いて下さい」ほどではなく、ほどよくこなれてきた感もある一方で、中村中としての世界観をしっかりと確立してきたアルバムのように感じました。3年前の紅白出場で注目を集めたものの、いまひとつブレイクできず今に至っていますが・・・個人的には、もっともっと注目されて売れてもいいシンガーだと思うんだけどなぁ。このアルバムから、心機一転レコード会社を移籍したそうですが、そろそろ一気にブレイクを、期待したいところです。

評価:★★★★★

中村中 過去の作品
私を抱いて下さい
あしたは晴れますように


ほかに聴いたアルバム

アサイラム/THE BACK HORN

アサイラム(通常盤)

前作「パルス」に続きベスト10ヒットを記録した新作。売上が示す通り、とても勢いを感じさせます。特に前半。ダイナミックなバンドサウンドと、いい意味でわかりやすくポップなメロディーラインにグイグイと惹き付けられる作品。ちょっとメロディーが似たような曲が多いのが気にかかるものの、最後まで止まらない勢いを感じさせてくれました。

評価:★★★★★

THE BACK HORN 過去の作品
BEST
パルス

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