地元レコーディングでリラックスした作品
Title:Awa Come
Musician:チャットモンチー
「Awa Come」というストレートなアルバムタイトルに、阿波踊りをモチーフにしたジャケット写真・・・そのまんま、といった感じですが、今回のアルバム、彼女たちの出身地である徳島レコーディングをしたミニアルバム。それも、インディーズでリリースした「チャットモンチーになりたい」で使用したレコーディングスタジオを使用したそうです。さらに、8曲中4曲は、デビューミニアルバム「chatmonchy has come」の時期に制作された未発表曲で、残り4曲は今回の新曲だそうです。
「徳島」という点が一番はっきりしているのが、「青春の一番札所」でしょう。大学の学食で、久しぶりにみんなで集まって宴会をしているような、そんな光景を描いた作品。すたち酒、眉山、鳴門の海、かずら橋、吉野川・・・徳島をテーマとした固有名詞がたくさん出てきます。そんなプライベートな作品ながらも、懐かしい仲間と集まるという風景はやはり普遍的。誰もがおそらくノスタルジックな気分になる作品です。
他にも「あいかわらず」でストリングスで参加しているのが大学の後輩だったり、地元徳島のレコーディングらしい、どこかリラックスした雰囲気がアルバム全体に流れています。ラストのアコギ1本で聴かせる「また、近いうちに」も、おそらくそんな徳島に在住している親に贈った(と思われる)1曲。他にも「キャラメルプリン」や「雲走る」など、ノスタルジックな歌詞の曲が多く収録されていました。
そんな地元徳島でのレコーディングという特徴が随所に感じられるアルバム。ただ、その一方で、最近のアルバムに比べて原点回帰した、という印象や、徳島を意識した異色な内容、という印象は受けませんでした。アルバム全体としてはいつものチャットモンチー。「ここだけの話」のように、20代の等身大の女の子を描いたかわいらしいギターロックはいつも通りでした。
まあ、それって言うなれば、彼女たちが東京に出て、デビューから5年たっても、あまり大きく変わっていないという証拠なんでしょうね。アルバム毎にそれなりに違ったカラーは出しているものの、根本の部分は、デビュー当初から変わっていない、それがチャットモンチーの大きな魅力のひとつでしょう。
このアルバムを機に、新たな一歩に進んでいく・・・といった感じではないのですが、彼女たちにとっては、大切な1枚になったような、そんなアルバム。そして、そんな彼女たちの気持ちがこちらにも伝わってくるような、そんな作品でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
the best of shogo hamada vol.3 The Last Weekend/浜田省吾
2006年に2枚同時にリリースされた「the best of shogo hamada vol.1」「vol.2」に続く、浜田省吾のベスト盤第3弾。今回は社会派のメッセージソングを集めたベスト盤だそうです。彼の曲は、歌詞にしろメロディーにしろ、正直、少々仰々しくて、ストレートすぎる部分もありますが(笑)、それだけストレートに伝わってくるものはありました。評価:★★★★
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