気持ちよいシューゲーザーサウンド
Title:Ukiyogunjou
Musician:cruyff in the bedroom
ちょっと前、ニューゲイザーと呼ばれるシューゲイザーの影響を受けたバンドが注目されたり、日本でも「シューゲイザー・ディスク・ガイドブック」なる本が発売されるなど、ここ最近、いわゆるシューゲイザーと呼ばれるジャンルが、再評価されてきている感があります。
そんな中、発売されたのがcruyff in the bedroomのニューアルバム。結成が1998年といいますから、既に12年目に突入したベテランバンド。日本を代表するシューゲイザーバンドの一組で、前述の「シューゲイザー・ディスク・ガイドブック」でも、「ジャパニーズ・キング・オブ・シューゲイザー」として紹介されていました。
彼らのシューゲイザーサウンドは、ある意味、「王道」とも言えるスタイルかもしれません。このアルバムも1曲目「Ukiyogunjou」から、これでもかというほどのホワイトノイズを鳴らし、その向こう側で、ポップでキュートなメロディーが流れてくるスタイルは、シューゲイザー系と呼ばれるバンドが好きなら、かなり壺にはまりそう。
その後も、基本、ドリーミーなギターノイズにポップなメロディーというスタイルが続いていきます。そんな中でも、ノイズサウンドを前面に押し出した「Quruttacekaij」や、逆に、歌を前面に押し出した「Mirawii Carnaval」、ヘヴィーなギターをダイナミックに取り入れた「Rain Me」、さらに最後を飾る、ギターのアルペジオが実に美しく流れる、幻想的な「Last Night In Antwerp」まで、そのスタイルを少しずつ変えながら、アルバムは展開していきます。
ただ、その中で、そのメロディーがひとつ大きな特徴になっているように感じました。彼らの書くメロディーは、とてもポップ・・・なのは当たり前ですが、どこか、哀愁を帯びています。歌謡曲風、とまではいかないのですが、日本的といいましょうか、悪い意味ではなく、J-POP的な臭いを感じました。
実際、「Sadness Madness」あたりは、シングルカットすれば、十分ヒットチャートで勝負できるようなメロディーラインを持っていまし、メロディーを前面に出した「The Colour Is Blue」も、ある意味、日本的な哀愁を感じるメロディーラインが印象に残りました。そういう意味でも彼らは、まさに日本のシューゲイザーバンドと言えるでしょう。
ともかく、気持ちよいほどのギターノイズにおぼれたい方、お勧めの1枚です。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
GLAY/GLAY
約3年9ヶ月ぶりの新譜は、なんとセルフタイトル。それだけの自信がある、という点と、メンバーが立ち上げた新レーベルからの第1弾ということで、強い意気込みがあるからこそなのでしょう。「WASTED TIME」「Chelsea」あたりはいかにも彼ららしいビートロック。他にも、ストリングスを入れたり、打ち込みを入れたり、様々な要素を取り入れつつも、全体的には良くも悪くもGLAYらしさを強く感じる作品になっています。そういう意味では、ファンには納得の作品だったのでは?
評価:★★★★
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コメント
日本のシューゲイザーってディーパーズかルミナスオレンジかって思ってましたが、CITBって意外なほど海外からの支持を得てるんですね。
以前に聴いた時は、さらりと聞き流しちゃったんで、改めて聴いてみようかなー。
「シューゲイザー・ディスク・ガイドブック」も面白そうですね。
投稿: everblue | 2010年12月22日 (水) 00時36分
>everblueさん
「シューゲイザー・ディスク・ガイドブック」は、日本の本なので、残念ながらクライフの評価は海外の評価ではないかと思います・・・。でも、とてもいいバンドだと思いますよ。王道なだけに、聴いていてすんなりと耳になじむ感じがします。お勧めですよ!
「シューゲイザー・ディスク・ガイドブック」も、いろいろなCDが紹介してあって興味深いです。是非、読んでみてください~。
投稿: ゆういち | 2010年12月30日 (木) 11時53分