CKB流アジアン・ポップ
Title:MINT CONDITION
Musician:クレイジーケンバンド
クレイジーケンバンドの新作は、相変わらずの音楽のごった煮。歌謡曲風のメロディーに、ソウルのテイストを加えてポップにまとめあげているのはいつも通り。そして、そこに様々なジャンルの要素を加えているのもいつも通り。
そういえば、歌謡曲というジャンルも、様々なジャンルのおいしいところだけを、どんどんと取り入れて、日本人好みにまとめあげた音楽ですが、様々な音楽のごった煮という意味では、クレイジーケンバンドと共通点がありそうです。
今回の作品も、クレイジーケンバンドらしい歌謡曲テイストの強い「1107」からスタートしたかと思えば、タイトル曲「Mint Condition」は、アジア風のジャズ(?)といった感じ。「Body Talk」はファンキーな作風ですし、「磨き」はハードなスカのナンバー。「ヨコスカン・ミラクル」はモータウン風(というよりも、ジャクソン・ファイブ風(??))のポップチューンに、「ステーション・ワゴン」は、爽やかなシティーポップ風の作品になっています。
そんな相変わらずのジャンルレスな作風が楽しい彼らですが、今回の新作では、ひとつのテーマが感じられました。それは、タイトル曲「Mint Condition」の醸し出している雰囲気がまさにそれなのですが、「アジアテイスト」という点。タイトル通り(?)、シンガポールをテーマとした「シンガポーラ」や、こちらもタイトル通りの「Hong Kong Typhoon」、さらに「Hideaway」ではバリ島を舞台にしています。
さらに後半は「漢江ツイスト」に、韓国の歌手、パク・サンチョルの「無条件」のカバーなど、韓国をテーマにした作品が並んでいます。ただ、韓国といっても、最近はやりのK-POPのような、洗練された今風の韓国ではなく、アジアンテイストが強く、エキゾチックでちょっと怪しげな雰囲気を取り上げているのが彼ららしいところです。
もっとも、彼らが取り上げる「昭和歌謡」も、一昔前の日本の、ちょっと怪しげな部分を取り上げているわけで、そういう意味では舞台が日本だろうと韓国だろうとアジアだろうと、彼らの視点は一緒なんだなぁ、ということを感じました。
あいかわらずの全21曲70分強のフルボリューム。今回は、アジアをテーマとしたロードムービーを見ているような、そんな感じを覚えるアルバムでした。そう考えると、ラストの哀愁たっぷりのインストチューン「地層」は、さしずめそんな映画のエンディングテーマといった感じでしょうか?
毎作傑作続きの彼ら。このアルバムも傑作なのは間違いありません。しかし・・・ここ数作、ずっと最高傑作を更新していた彼らですが、今回の作品は、前作や前々作には及ばなかったかなぁ、と思います。ちょっとインパクトが薄かったのかなぁ?とはいえ、今回の作品も傑作なのは間違いないと思います。フルボリュームながらも飽きることなく最後まで楽しめるアルバムでした。
評価:★★★★★
クレイジーケンバンド 過去の作品
ZERO
ガール!ガール!ガール!
CRAZY KEN BAND BEST 鶴
CRAZY KEN BAND BEST 亀
ほかに聴いたアルバム
THIS WORLD/THE PREDATORS
ストレイテナーのナカヤマシンペイが脱退。ELLEGARDENの高橋宏貴が加わった新生THE PREDATORSの新作。ただ、基本的なスタンスは以前と同じ。NIRVANA meets the pillowsといった感じ。その中でも「GOOD BYE GOBLIN」は、歌詞も含めて、ちょっとthe pillows風?勢いは相変わらず感じるのですが、3枚目となって、ちょっとだけマンネリの影も??
評価:★★★★
THE PREDATORS 過去の作品
牙をみせろ
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