ボーカロイドの特色を活用
Title:初音ミクの消失
Musician:cosMo@暴走P
一時期ほど大きな話題にはならなくはなりましたが、相変わらず量産されている初音ミク関係のアルバム。個人的には、(前にも書いた通り)ネット発の音楽というのはおもしろいなぁ、と興味は持っているのですが・・・。
個人的に、いままで何作か「初音ミク」がらみの作品を聞いて気になっていたのが、単純にボーカルトラックを初音ミクに置き換えただけ、と感じた作品が多かった点でした。正直、どんなに技術が優れていても、機械的なボーカロイドな声は、感情のこもった人間の声にはかないません。それに、思いいれがなければ、初音ミクのボーカルをアルバム1枚聴き通すのは、ちょっと厳しいものがありました。
しかし、そんな中で久しぶりに聴いたボーカロイドのこのアルバム。ボーカロイドの特徴を生かしまくったボーカルトラックになっていました。
この作品では、初音ミクの声がより機械っぽくつくられていて、あえてボーカロイドとしての存在を際立たせているように感じました。さらに、特徴的だったのは、歌詞が全く聴き取れないような、超早口のボーカル。ある意味、人間には置き換え不可。ボーカロイドだからこその作品だったと思います。
また、cosMo@暴走Pのもうひとつの特徴は、この早口と同じように超ハイテンポのピアノ。他にも楽曲は全体的に超ハイテンポな作品がほとんど。このハイテンポな勢いが、リスナーに有無をいわせず、アルバムの世界に引きずりこませています。
このアルバムでは、初音ミクの誕生から消失までを描いたテーマ性のあるアルバム。ただ、あまりにもハイテンポな内容に、普通に聴いているだけだと、歌詞の内容が全く頭に入りません(笑)。ただ、初音ミクのキャラクター性に焦点を当てる内容は、ともすればリスナー層を狭めてしまうだけに、逆に、パッと聴き取れないことが、プラスに働いていたかも、なんてことも思ってしまいました(笑)。
個人的には、いままで聴いた「初音ミク」がらみの作品の中では一番楽しめました。超暴走気味のリズムは、なかなかはまります。
評価:★★★★
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