チャート1位を獲得した新作
Title:still a Sigure virgin?
Musician:凛として時雨
今回の作品は、前作「just A moment」に比べると、メタリックなヘヴィーサウンドはあまり表に出てきていません。もっとも、ハイテンポなリズムと、(好き嫌いはあるかもしれませんが)一度聴いたら忘れなさそうな、TKのハイトーンボイスはあいかわらずです。
そして、そんな中でもとても魅力的だったのは、打ち込みと生音のバランスが絶妙なサウンドの妙。「シャンディ」のピアノの音と打ち込みのバランス感覚も実に絶妙ですし、「a symmetry」の序盤で聴かせてくれるテンポのよいドラムとちょっとファンキーのギターが絡んだりするのもおもしろいです。「Can you kill a secret?」の複雑なドラムスのリズムも聴き入ってしまうものがあります。
ただ、そんなバンドとしての魅力を随所に感じながらも、彼らの最大の魅力は、やはり曲の要所要所に感じる、ともすれば「J-POP」的な、メロディーラインなのかなぁ、なんてことも思ったりします。
もともと、ドラムスのピエール中野はX JAPANのYOSHIKIからの影響を公言していますし、ボーカルとギターのTKもJ-POPからの影響を公言していますが、彼らの楽曲にも、ある種J-POP的なインパクトを感じるメロディーラインがチラホラ。このアルバムを聴き終わると、なぜかB'zやGLAYあたりのアルバムを聴き終った後と似たような感覚を覚えました。ちょっとベタで濃ゆい味付けの、でも、妙にメロディーラインが耳に残っている・・・そんな感じでしょうか?
この一歩間違えれば大味にすらなりかねないメロディーのインパクトの大きさも、彼らの大きな魅力であって、彼らの人気が似たタイプのギターバンドの中で、頭ひとつもふたつも出ている大きな理由なのかなぁ?と思いました。
チャートの上昇と共に、前作以上の成長が感じられたアルバム。まだまだ今後の活躍も期待できそう・・・とても楽しみなバンドです。
評価:★★★★★
凛として時雨 過去の作品
just A moment
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