大人の余裕
Title:マイウェイ ハイウェイ
Musician:トータス松本
オリジナルとしては2作目となるトータス松本のソロアルバム。前作「FIRST」での、真剣な表情のジャケット写真とはうってかわって、にこやかな表情のジャケット写真に、とても楽しげな雰囲気を感じさせてくれます。
事実、今回のアルバムは、このジャケット写真で見れてくれた姿そのまま。実にリラックスした大人の余裕を感じさせてくれたアルバムでした。
今回のアルバムは、ルーツミュージックの要素を多く取り入れています。デキシーランドジャズ風の「なにをやってもケチがつく」に、CMソングにもなった「クリア!」は力強いファンクチューン。「あいあいひとは誰?」はヘヴィーなブルースロック風と、ブラック、ソウルを中心とした、彼のルーツを垣間見る作品が並んでいます。
ただ、そこに、「自分のルーツを取り上げるんだ」という気負いみたいなものは感じさせません。むしろ、そこにあるのは、自分のやりたい音楽を、ただやりたいように楽しんだだけ、というスタイル。そのためでしょうか、どの曲も、実にポップに仕上げられています。
個人的には、このアルバムから感じられたトータス松本の余裕は、一種の奥田民生の曲に感じるような余裕に似ているなぁ、とも感じました。どちらもルーツミュージック的な要素を上手く取り入れつつ、あくまでも音楽を楽しんでいる、という余裕を感じさせます。
ただ、飄々とした奥田民生の歌詞の世界に比べると、トータス松本の歌詞の世界には強いメッセージ性を感じます。タイトル曲「マイウェイ ハイウェイ」でも歌われる、自分の道を進めというメッセージ。もっとも、そこにメッセージソングにありがちな暑苦しさはありません。そっと背中を押してくれるような歌詞のスタンスにもまた、大人の余裕を感じることが出来ます。
前作「FIRST」は、全16曲というフルボリュームだっただけに、ちょっと長すぎた感があったのですが、本作は、全12曲45分程度と、アルバムとして聴くにはちょうどよい長さ。詰め込みすぎないというのもまた、大人の余裕かなぁ(笑)。
評価:★★★★★
トータス松本 過去の作品
FIRST
ほかに聴いたアルバム
III/ROCK'N ROLL GYPSIES
こちらも大人の余裕だねぇ~。花田裕之を中心に、元ルースターズのメンバーが組んだロックバンドの3枚目となるアルバム。彼らの奏でるブルースロックや、ガレージパンクには、若手バンドのような張り詰めた緊張感みたいなものはないかもしれませんが、渋いそのサウンドには、大人のバンドとしての余裕というか、味わいみたいなものを感じることが出来ます。評価:★★★★
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