コンゴのどん底から
先日、彼らの来日ライブに行き、その迫力あるライブにすっかりはまってしまいました。その時も、ライブの前に予告編が流れていたのですが・・・ようやく行ってきました。映画「ベンダ・ビリリ!~もう一つのキンシャサの奇跡」。今年のカンヌ国際映画賞にも出品され、話題になった映画です。
まず、見終わった後に思った感想を言えば、「ライブを見る前に見たかったなぁ~」ということ(笑)。残念ながら、名古屋では、映画がスタートしたのは10月23日の土曜日から。来日公演ははるか前に終わってしまいました。この映画を見てから彼らのステージを見れば、またライブのイメージがかわったかもしれなかったですね。
以下 ネタバレの感想。
この映画の半分以上のシーンを占めるのが、コンゴの街角の、貧しく、そして厳しい現実でした。まだ年端も行かない子供たちが、わずかなお金で賭け事に興じるシーン。ひったくりを「ここでは当たり前。泥棒をしなければ生きていけない」と言い切る子供たち。そんな現実を淡々と描いています。
また、スタッフ・ベンダ・ビリリのメンバーに関しても、以前から、知識として、彼らが最貧国コンゴの中でも、障害者として最も貧しい生活を余儀なくされている、という話は知っていたのですが、この映画ではそんな彼らの現実も、そのまま映し出していました。
それにも関わらず、スタッフ・ベンダ・ビリリのメンバーはとても楽しそうに音楽を奏でています。そして、その歌詞は、この映画の中で、彼らの生活を映像としてみた上で聴くと、よりリアリティーをもって心に響いてきました。「トンカラ」の「人生でやり直せないことなんて絶対ない」というフレーズや、「ポリオ」の「お願いだから子供たちに予防接種をしてやってくれ」という歌詞が、CDで聴くよりも、より心に深く刺さってきました。
物語は、映画のスタッフとベンダ・ビリリの出会いからレコードデビュー、そしてヨーロッパツアーと話が進んでいくのですが、ヨーロッパツアーでの彼らの姿も印象的。成功を素直に喜び、そして、音楽を素直に楽しんでいる姿は、先日のライブでも強く感じたのですが、この映画でも強く印象に残り、後味よく、映画は幕を閉じました。
ドキュメンタリータッチでもあり、物語は比較的淡々と進んでいくため、インパクトのある展開を期待すると、ちょっと物足りなさも感じるかも(レコードデビューからヨーロッパツアーという流れは、十分ドラスティックな展開なのですが・・・)。それでも、スタッフ・ベンダ・ビリリの魅力を、より深く知ることの出来た素晴らしい映画だったと思います。彼らのCDを聴いたことある方、ライブに行かれた方は是非!また、CDを聴いたことなくても、十分楽しめる映画だと思います。
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