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2010年11月30日 (火)

情景が浮かんでくる傑作

Title:BUOYANCY
Musician:キリンジ

BUOYANCY

キリンジといえば、毎回、必ずクオリティーの高いポップの名盤を作り続けている、いわば安定感の高いミュージシャン。それだけに、彼らの作る新作は、ある意味いつも安心して楽しめることが出来ます。

ただ、そんな中でも今回のアルバムは、個人的に彼らの作品の中でも、最高傑作に近い内容だったのではないかと思いました。

このアルバム、聴いていていつも以上にその世界の情景が浮かんでくる楽曲が多かったような印象を受けました。

Pet Sounds風の分厚いアレンジが心地よい「夏の光」は、まさにきらめく海岸線をドライブしていくような爽やかさが心地よいナンバー。続く「温泉街のエトランジェ」は、温泉街を訪れた風景を描写した曲なのですが、堀込高樹らしいユーモラスな視点がとても楽しいポップナンバーになっています。

歌詞といえば、今回、この堀込高樹の歌詞の世界がインパクト強く光った曲が多かったような。漢語調なちょっと硬い文体に、どこかファンタジックな要素の混じった世界は相変わらずながら、その文体と視点で現実社会のなにげない一瞬を描写しているので、とてもユニーク。「都市鉱山」は、その名の通り、最近話題のいらなくなったパソコンや携帯電話に残っているレアメタルなどを再利用する、という話しを歌詞にした曲なのですが、ニューウェーヴ風な楽曲とあわさって、どこか無機質な雰囲気が楽しい曲に仕上がっています。

一番インパクトが大きかったのは「台風一過」。もうタイトル通りなのですが、台風の過ぎ去った街の描写がとてもおもしろく、かつ風景が目に浮かんでくるよう。妙に仰々しい重厚なコーラスのアレンジが、そのユーモア感に輪をかけています。

もちろん、堀込泰行の方も「Rain」など、ロマンチックで情景が目に浮かぶような素敵な曲をたくさん聴かせてくれています。兄弟の個性が、よく出てきているアルバムになっているように感じました。

一方、歌詞のみならず、曲も、様々なタイプの曲が並んでいたのが印象的なアルバムでした。

前述の「夏の光」や「都市鉱山」「台風一過」もそれぞれ全く違うタイプの曲になっていましたが、その他もカントリー風の「ホライゾン!ホライゾン!」やレゲエ調の「Round and Round」など、いつも以上にバラエティー豊かな曲が並んでいるアルバムになっています。

「BUOYANCY」=浮力、回復する力 というタイトル通り、さらなる上昇を感じさせる勢いのあるアルバムだったように感じます。メジャーデビューから10年以上が過ぎ、既にベテランの域に達している彼らですが、さらなる高みを目指そうとする1枚だったのではないでしょうか。彼らの実力がいかんなく発揮された、文句なしの傑作です。

評価:★★★★★

キリンジ 過去の作品
KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration
7-seven-


ほかに聴いたアルバム

オールタイムベスト/辛島美登里

オールタイム・ベスト

タイトル通り、辛島先生の音楽活動を通じての代表曲をセレクトしたベスト盤。本人選曲によるベストなのですが、代表曲をほどよく収録されている感じ。15曲はちょっと少なめかもしれませんが、初心者向けにはちょうどいい分量といった気もします。これを機に、一度聴いてみたい大人向けのラブソングが並んでいます。

評価:★★★★★

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