新たな一歩
Title:POSTCARDS FROM A YOUNG MAN
Musician:MANIC STREET PREACHERS
前作「Journal For Plague Lovers」は、95年に突然失踪したメンバー、リッチー・ジェイムスの歌詞を全編にちりばめた作品になりました。その前年に、リッチーの死亡宣告がなされた、それに対するバンドからの「反論」だったのかもしれません。
それからわずか1年のインターバルでリリースされた本作は、ある意味、彼らの新たな一歩・・・と言えるのかもしれません。ただ、楽曲はいつもの彼ららしいギターロック路線。ある種の王道ともいえるかもしれません。
前半、大きな特徴となっていたのは、ストリングスの音色。メロディアスなギターロックにストリングスが加わることによって、楽曲からより大きなスケール感が生まれていました。特にタイトル曲の「POSTCARDS FROM A YOUNG MAN」や「SOME KIND OF NOTHINGNESS」のメロディーの美しさは実に見事。アレンジともマッチしていて、絶品のポップソングに仕上がっていました。
ただ、一方、ストリングスアレンジは、少々大味に感じるのも事実・・・。このアレンジが続くなら、後半はちょっと飽きるなぁ~なんて思っていたら、中盤「AUTO-INTOXICATION」あたりからは、ストリングスのアレンジが薄くなり、ロック色が強くなっていきました。
「I THINK I FOUND IT」のちょっと哀愁味あるマンドリンの音色が一種のインパクトに。元ガンズ・アンド・ローゼスのダフ・マッケイガンがベースで参加している「A BILLION BALCONIES FACING THE SUN」も、ロッキンなバンドサウンドを聴かせてくれます。
本編ラストの「DON'T BE EVIL」は、彼ららしいメロディアスなギターロックナンバーで締めくくり。「新たな一歩」とはいえ、音楽面ではいつもながらのマニックスの魅力をしっかりとつめこんだアルバムで、いい意味で、安心して楽しめるアルバムだったと思います。
デビューから18年。すっかりUKギターロックの大御所バンド・・・なのでしょうが、サウンドはいまだに若々しく。ただ、リスナーの壺のつき方や、楽曲から感じられる一種の余裕に、ベテランバンドとしての実力を感じる1枚でした。
評価:★★★★★
MANIC STREET PREACHERS 過去の作品
Journal For Plague Lovers
ほかに聴いたアルバム
SHAKA ROCK/JET
オーストラリアのガレージロックバンドの3枚目。ゴリゴリとした骨太のギターによる、ヘヴィーなリフを中心としたガレージサウンドがたまりません。ロックンロールのカッコよさをストレートに体現したようなアルバムでした。評価:★★★★★
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