21年ぶり(!)のセカンド
Title:Sex With An X
Musician:The Vaselines
The Vaselinesは、スコットランドのエディンバラで結成されたロックバンド。1986年に結成し、1989年にオリジナルアルバム「Dum Dum」をリリースするものの、ほどなく解散してしまいました。
その後、あのNIRVANAのカート・コバーンが彼らのファンだった、ということで解散後に再評価。1992年にリリースされたNIRVANAのコンピレーションアルバム「Incesticide」では、2曲もNIRVANAによるThe Vaselinesのナンバーが収録されて、大きな話題を呼びました。
そんな彼らが、2008年になんと再結成。そして今年、ついに21年ぶりとなる2枚目のアルバムが発売されました!!
・・・・・・といっても、私自身、実は不勉強でThe Vaselinesのことは今回が初耳。アルバムも、このアルバムではじめて聴きました。
NIRVANAのカート・コバーンがファンだった、という紹介のされ方をするオルタナ系バンドは少なくありません。例えばPIXIESや、彼らと同じスコットランド出身のTEENAGE FANCLUBなどがその代表例でしょう。そして、そういうバンドから考えると、まさにThe Vaselinesの音は、いかにもカート・コバーンが好みそうなタイプの音だなぁ、と感じました。
1曲目「Ruined」は、いきなりノイジーで歪んだギターサウンドを聴かせてくれます。ここらへん、PIXIESや、他にも例えばSONIC YOUTHあたりと近い音を感じます。また、基本的に男性ボーカルが主体ながらも、女性ボーカルが楽曲に彩りを添えている、という点もまた、PIXIESと同じようなものを感じます。
ただ、メロディーに関しては、いわゆる「美メロ」と言われるような、ポップでメロディアスなメロディーラインが耳を惹きます。特に印象的だったのが「Such A Fool」。男女デゥオのバランスが実に見事で、コーラスを多層に重ねることにより、美しい音の世界を作り上げています。
また、「Roaster」もまた、このアルバムのひとつの核に感じました。ヘヴィーなバンドサウンドが迫力あるサウンドを作り上げている一方、メロディーは、これまた男女デゥオが実に美しくはまっているポップでメロディアスなもの。ここらへんの楽曲がThe Vaselinesらしい、というのでしょうか?
前に出したミュージシャンをそのまま使うのもあれで、そしてそのまんまなのですが、タイプ的には、PIXIESとTEENAGEFANCLUBを足して2で割った感じのバンド。そして、PIXIESとTEENAGEFANCLUBが好きな私にとっても、まさに壺にはまりまくるアルバムでした(笑)。
まあ、あえていえば、音的には、90年代のオルタナ系ロックバンドにはよくあるタイプともいえるかもしれません。ただ、それを差し引いても、このポップなメロディーラインは魅力十分。21年ぶりとはいえ、いまだに現役感バリバリの作品に感じました。
前に出てきたミュージシャンたちのファンには文句なしにお勧めの1枚です。
評価:★★★★
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