アメリカン・ロックの重鎮による傑作
Title:TIN CAN TRUST
Musician:LOS LOBOS
デビューからすでに30年以上のたつ、アメリカの重鎮バンド、LOS LOBOSによるニューアルバムです。
アメリカのロックバンドというと、どこかアメリカ大陸西部を彷彿とさせるような(??)泥臭さが感じられます。彼らの音楽も、どこかアメリカンロックらしい泥臭さと骨太なサウンドが。例えば「On Main Street」などは、そんなまさに骨太のサウンドを聴かせてくれます。
ただ、正直言うと、こういうタイプのいかにもなアメリカン・ロックはあまり個人的に壺にはまらないのです、最初、聴きはじめた段階では、ちょっと好みからはずれるかなぁ・・・と思いながら聴き進んでいったのですが、途中から、徐々にLOS LOBOSの魅力にはまっていきました。
特に中盤以降、ラテンやソウル、ブルースといった音楽を、自在に自身の音楽に取り込むスタイルがとても魅力的。ラテンナンバーを哀愁たっぷりに聴かせてくれる「Yo Canto」や、ブルージーなギターをこれでもかと聴かせる「Jupiter Or The Moon」や「All My Bridges Burning」もとても気に入りました。
そんな中でも魅力的だったのが、ギターインストナンバーの「Do The Murray」。彼らのロックバンドとしての実力を存分に感じることのできるナンバーでした。また、後半も、軽快なアコーディオンが爽やかな「Mujer Ingrata」など、魅力的な曲がたくさん。様々な音楽の要素を取り込む包容力の大きさと、彼らの実力を存分に感じることができました。
ルーツ・ミュージック指向の音楽性は、余計な装飾もなく、楽器やメロディーの持つ魅力をダイレクトに伝えてくれている、彼らの音楽からは、そんなスタイルを感じました。だからこそ、30年以上もキャリアのあるベテランバンドで、演奏は非常に安定感がありながらも、聴いていてどこか新鮮さを感じられたのではないでしょうか。
彼らの魅力にすっかりはまってしまいました。バラエティーも豊かですし、最後まで耳の離せない傑作アルバムでした。
評価:★★★★★
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2010年」カテゴリの記事
- やはりまずはブライアン版を聴いてから?(2011.12.12)
- ロックファンもブラックミュージック好きも(2011.01.04)
- 復帰直後のライブ音源(2010.12.27)
- 聴きこめば聴きこむほど?(2010.12.20)
- なによりも美しいメロディーが素晴らしい(2010.12.14)
コメント