たのしそうな2人
Title:あなたと歌おう
Musician:やもり
矢野顕子が、森山良子とユニットを組む・・・と聴いて、正直、最初はちょっと意外な印象を受けました。個人的に森山良子といえば、フォークシンガー。それもどちらかというと優等生的なイメージが強い、個人的には教科書に出てきたような曲を歌っている、というイメージを強く持っていました。
もっとも、矢野顕子と森山良子は以前からお互いに楽曲提供したり、コンサートにゲストで参加したり、と交流が深いミュージシャン同士だったそうで、そういう意味では、このユニットは自然の成り行きだったのでしょうか。
そして、出来上がったアルバムは、そんな長く交流のあった2人の仲の良さが、とてもよく出ている自然体のアルバムになっていたと思います。
特に矢野顕子は、ここ最近、くるりやレイ・ハラカミのように、若手ミュージシャンと組むことが多いのですが、今回の相手はほぼ同年代(といっても、森山良子の方が7つ年上のようですが・・・)の同姓の相手、ということもあり、いつも以上に純粋に歌を歌うことを楽しんでいるように感じました。
楽曲は、公式サイトにも「大人のフォークソング」といううたい文句があるように、フォークソングの色合いが濃い曲が多く、そういう意味では、彼女たちと同年代の大人のリスナー層も楽しめるような内容になっています。
その一方で、矢野顕子が楽曲を提供した、彼女らしいちょっとジャジーな雰囲気の入った独特のポップソングもとても魅力的。「恋愛宣言」や「温泉に行こう」など、身近な出来事を題材にした、肩から力の抜けたようなポップソングは、気の知れた友達と一緒だからこそ歌えるポップソングなのでは?
その他にも多くのカバー曲も収録されているのですが、特にユニークだったのは吉田拓郎の「旅の宿」のカバー。ジャジーな雰囲気にリアレンジされており、元曲のイメージとは異なるものの、楽曲に新たな魅力を与えています。
そんな肩の力の抜けたポップソングが並んでいたかと思えば「死んだ男の残したものは」のような、情熱的なボーカルを聴かせる力強い曲がポッと出てくるのも大きな魅力かも。この曲、なんとなく森山良子の息子の森山直太朗が歌っていても不思議ではないような(笑)。
楽しそうにポップソングを歌う2人がとても魅力的。タイトル通り、一緒に歌を歌いたくなってくるようなとても素敵なポップアルバムでした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
GOOD TIMES/RIP SLYME
RIP SLYMEの楽曲を発売順に並べたベストアルバム。デビュー当初から今に至るまで、ポップで楽しいパーティーチューンを中心に、本当に魅力的な曲揃いで最後まで飽きさせません。彼らの実力を再認識できるベスト盤です。
・・・と内容的には申し分ないのですが、どうもここ最近の彼ら、やはりデビュー当初ほどの刺激を曲から感じられなくなっているのも事実で、ベスト盤を聴いても、初期の曲の印象がどうしても強くなってしまいます。1曲1曲を取れば、最近の曲も、決してデビュー当初の曲に負けていない出来だとは思います。実際、ここ最近のオリジナルアルバムも文句なしの傑作続きでした。ただ、やはり最初に聴いたインパクトが強いんだよなぁ。売上的にも最近、さほど大きなヒットを出していないのも気になるところ。また、以前のような、文句なしのキラーチューンを聴きたいところなのですが・・・。
評価:★★★★★
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