その曲を一度は聴いたことあるかも
Title:SYOKO SUZUKI Song Book Vol.1"1989-2009"
Musician:鈴木祥子
鈴木祥子という名前をはじめて知ったのは、私がまだ高校生の頃でした。当時、よく聴いていた女性シンガーの曲の作曲者に、その名前を見かけたのが最初でした。
正直言うと、その時は、彼女の曲はそんなに好きにはなれませんでした。彼女の曲は、決してフックの利いたサビとかはなく、全体的に地味でおとなしめ。そんな彼女の曲は、高校生の自分の耳には、あわなかったのです。
80年代から数多くのミュージシャンへの楽曲提供を手がけている彼女。そんな彼女の、他のミュージシャンへ提供した曲をまとめたアルバムが、このたびリリースされました。
ちょっと懐かしい曲なども収録されているのですが、正直言って、今聴いても、彼女の曲は決して派手なものではありません(笑)。ただ、しっかりと作りこまれたメロディーラインは、とても暖かく、そしてしっかりとリスナーの心にひっかかる力を持っています。
クオリティーの高いポップソングを作る一方で、作曲家としての自己主張というか、変な癖みたいなものが薄いなぁ、とも感じました。だからこそ、シンガーに楽曲を解釈する余地があるからこそ、作曲家として引っ張りだこで、様々な曲を提供しているのでしょう。(逆に、それがゆえに、鈴木祥子としての大きなヒットはないのかも・・・・・・。)
小泉今日子に提供し大ヒットした「優しい雨」も収録されています。その他は、大ヒット曲というのはないのですが、どこかで耳を通したことのある曲が1曲くらいはある、かも。
個人的には、今回収録された曲で気に入ったのは、60年代ギターポップ風味満載のPUFFYに提供した「きれいな涙が足らないよ」や、坂本真綾のクリアボイスが印象的な「風待ちジェット」あたりでしょうか。特に坂本真綾との相性の良さをあらためて感じました。
ただ、そんな中で一番印象に残ったのは、アルバムの最後に収録されていた川村カオリの「LIFE」。昨年7月に38歳の若さで亡くなった彼女のラストアルバムの最後におさめられた曲。癌で闘病中の彼女が、明日への希望をたくして歌った歌詞とボーカルに、心が締め付けられます。
20年以上の彼女のキャリアを総括するような作品。鈴木祥子の魅力をあらためて再確認できる作品でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
SEX CITY~セックスしたい/銀杏BOYZと壊れたバイブレーターズ
銀杏BOYZ名義のアルバムでは、5年ぶり(!)となる作品は、銀杏BOYZの峯田が主役を演じた映画「ボーイズ・オン・ザ・ラン」の監督をつとめた三浦大輔主宰の劇団「ポツドール」による舞台「裏切りの街」のサントラ。そのため、事実上、新曲は先行シングルの「ピンクローター」のみ・・・。その「ピンクローター」も、決して傑作とは言えず、他の曲も劇中歌であるため、銀杏BOYZの新譜として捉えると、かなり厳しい内容。劇中歌も、正直、劇を見た上で聴かないと、このアルバムだけでは、さほど心に残るようなものはなく。銀杏BOYZ、アルバムをリリースした後は、年に1枚ペースでシングルを出すだけですっかり活動が停滞気味なのですが、どうなるのかなぁ・・・ちょっとこれからの活動にも不安を感じたアルバムでした。
評価:★★
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