あまりにも残念・・・。
Title:SINGLES 2004-2009
Musician:フジファブリック
フジファブリックのデビューシングル「桜の季節」から、「Sugar!!」までのすべてのシングルを発売順に並べたベストアルバム。
フジファブリックといえば、シンガーでメインで作詞作曲を手がけていた志村正彦が2009年12月に急逝し、多くの音楽ファンに衝撃を与えました。若干29歳でその生涯に幕を下ろした若き才能を惜しむと共に、このアルバムを聴いて、あまりにも残念に感じるのは、ここ数作のシングルで、加速度的に楽曲の出来がよくなっていた点でした。
特に「Surfer King」以降の作品が素晴らしかったです。なんとなく、例えば言うと、楽曲のタイプは違うのですが、スピッツの初期に似たようなものを感じました。スピッツも、デビュー当初から楽曲にはキラリと光るものを持っていたのですが、それとポピュラリティーが結びつかず、ヒットには繋がりませんでした。それが、「君が思い出になる前に」あたりから、ちょっとひねったメロディーとポピュラリティーが上手く融合しはじめ、「ロビンソン」のヒットへと結びつきました。
フジファブリックのシングルにもそれと似たようなものを感じます。ここ最近の曲は、志村正彦の書く、ちょっとひねったメロディーとポピュラリティーが上手く融合しはじめたように感じます。ちょうど「Sugar!!」のあたりのフジファブリックは、スピッツでいえば「青い車」のあたりだったような・・・・・・それだけに、この段階での志村の急逝は、より一層、残念なものに感じました。
評価:★★★★★
そして、そんな志村正彦が残した楽曲を、ほかのメンバーやスタッフの手を借りてつくりあげたアルバムがこちら。
Title:MUSIC
Musician:フジファブリック
やはり、どうしても志村正彦のラストアルバム、というイメージから抜けられない部分はあるのは事実。ただ、それでもやはり、今のフジファブリックの成長ぶりが見事にあらわれた傑作だったと思います。
最終的な完成形ではない、という意味で、ちょっとラフな部分も感じます。ただ・・・こう言ってしまうと、「志村正彦最後のアルバム」という部分にとらわれすぎなのかもしれませんが、そのラフな部分が、むしろ志村正彦の存在をよりリアリティーに感じられるような気がしました。
収録されている曲も、「夜明けのBEAT」など、ドラマ主題歌にも採用されましたが、志村正彦らしいひねったメロディーがしっかりとポピュラリティーを持っている、十分ヒットポテンシャルのある名曲だと思いますし、メロディーの良さでいえばPUFFYに提供した「Bye Bye」など、珠玉の1曲。マネージャーの結婚パーティーで披露されたという「wedding song」は、志村正彦の本当に心のこもった名曲で、聴いていて胸が熱くなってきました。
フジファブリックというバンドはこれからも続けていくそうですが、これが志村正彦の遺作になってしまったという事実は本当に残念・・・。あらためて、志村正彦のご冥福を祈ると同時に、これからのフジファブリックの活躍を期待したいと思います。
評価:★★★★★
フジファブリック 過去の作品
TEENAGER
CHRONICLE
ほかに聴いたアルバム
13:day:dream/acid android
L'Arc~en~Cielのドラマーyukihiroによるソロプロジェクトによる4年2ヶ月ぶりの作品。終盤にはエレクトロ風の作品が並んでいるものの、アルバム全体としてはインダストリアルに影響を受けたようなギターロックの作品が目立ちます。目新しさみたいなものは感じなかったのですが、壺を押さえたラルクファンを含め幅広いリスナー層にアピールできるような音作りをしているのはさすが。ただ、ボーカルは、正直、ちょっといただけなかったかも・・・(^^;;
評価:★★★★
PLAYGROUND/山本精一
山本精一名義としては、6年ぶりとなる新作。冒頭、ノイジーなギターからスタートするので、ギターロックがメイン・・・かと思えば、その後はフォーキーな歌モノの作品が続きました。シンプルなメロと歌詞ながらも、どこか叙情的な雰囲気が魅力的。アレンジも、単純なフォーク風の、という感じではなく、ところどころでサイケな雰囲気が混じったりと、聴かせどころもたくさん。聴いているうちに、ついついとはまってしまうような作品でした。
評価:★★★★★
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