渋~い大人のロック
Title:MALPASO
Musician:長田進 with GRAPEVINE
Dr.Strange Loveのメンバーで、CoccoやGreat3などのプロデューサーとしてもおなじみの長田進の、初のソロアルバム。ただし、本作では、バックに、「deracine」移行、プロデュースを手がけるGRAPEVINEが参加し、共同名義でのアルバムになっています。
個人的に、GRAPEVINEのファンなので、やはり最初は正直長田進の名前よりも、GRAPEVINEの名前に惹かれてこのアルバムを聴きました。おそらく、私みたいなリスナーは多いのではないでしょうか。
そんな私は、1曲目のタイトル曲「MALPASO」ですっかりとやられてしまいました。ノイジーなギターに、ヘヴィーなドラムスが切り刻まれるこの作品は、巨大なうねりのような迫力のあるインストナンバー。ある意味、このアルバムの顔とも言えるのですが、バンドの魅力がこれでもかというほど発揮された、文句なしにカッコいいナンバーになっていました。
ただ、この曲はある意味ご挨拶代わり。その後の「愛ゆえに」でも同じくGRAPEVINEファンにはたまらないグルーヴィーなサウンドを聴かせてくれるのですが、やはりアルバムで主軸となるのは、長田進の歌でした。
「雨に唄えば」や「Beautiful orphan」などアコースティックテイストのナンバーをじっくりと聴かせてくれるのですが、これがまた渋い!低音を聴かせるボーカルを、しんみりと聴かせてくれるのですが、御年52歳の彼だらこそ聴かせてくれることが出来る、味のあるボーカルを楽しむことが出来ます。
Disc2の「俺の車」も(タイトルからして「らしい」のですが)、長田進がレコーディングなどで共演している奥田民生が、作詞作曲から楽器演奏まで手がけた曲。奥田民生らしい飄々としたナンバーなのですが、長田進のボーカルにより、なんともいえない深みを感じます。
最初は、GRAPEVINEらしさをもとめて「MALPASO」でうれしくなるも、アルバムが進むにつれて、徐々に長田進の魅力にはまっていくような、そんな作品でした。いやぁ~彼のボーカルは本当にカッコよかった!そういう意味では、よく考えられた構成は、さすがプロデューサーとしての実績のある彼ならでは、ということなのかな??
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
乱反射ガール/土岐麻子
土岐麻子の新作は、とにかく作家陣が豪華。真心ブラザーズの桜井やTRACERATOPSの和田唱、TOKYO No.1 SOUL SETの渡辺俊美に、NONA REEVES奥田健介、さらには森山直太朗まで(!)。他にもビートルズやマイケルジャクソンのカバーなど、盛りだくさんの内容になっています。
ただ、これだけ様々な曲を取り上げていながらも、アルバム全体として、ブレのない爽やかでキラキラとした空気を感じるシティポップチューンになっているのが見事。アルバム全体を貫く統一感がある一方で、楽曲の間で微妙に異なる音楽性のため、飽きのこない内容に。爽やかなポップソングは、暑い夏にはピッタリ!・・・って紹介するのがちょっとおくれてしまいましたね(^^;;
評価:★★★★★
土岐麻子 過去のアルバム
TALKIN'
Summerin'
TOUCH
VOICE~WORKS BEST~
HOLIDAYS IN THE SUN/YUI
正直、前作「I LOVED YESTERDAY」は、「ティーンズの心の叫びを歌う代表」みたいな部分を「演じさせられている」ようなものを感じて、歌詞にどこか違和感を覚えていました。ただ、本作は、今時の若者のいかにもな叫びは抑えられて、もっと等身大な歌詞になったような印象を受けます。
ただ、その分、ハッとするようなワードも少なく、歌詞の面でのインパクトは少なめ。メロディーも「GLORIA」は文句なしに名曲だと思い、メロディーの面では勢いが出てきたのかな?と期待していたのですが、「GLORIA」に匹敵するような曲もなく、残念。いい方向には進んでいるかな、とは思うのですが・・・。
評価:★★★
YUI 過去の作品
I LOVED YESTERDAY
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