« 直感的なサウンドとリズム | トップページ | アメリカへの憧憬 »

2010年9月13日 (月)

2つの顔

エレクトロの要素を取り入れた、先駆的なサウンドを取り入れながらも、ポップなメロディーラインで魅了する男女3人組バンド、Spangle Call Lilli Line。このたび、2枚のアルバムが、わずか2ヶ月のインターバルで発売されました。

その2枚のアルバム、Spangle Call Lilli Lineの魅力を、全く別の方向に引き出しているのが特徴的。いわば彼女たちの2つの顔を表現したアルバム、と言えるかもしれません。

Title:VIEW
Musician:Spangle Call Lilli Line

VIEW

こちらは、「歌」を主眼としたポップアルバム。共同プロデューサーとして、ROVOなどの活動でおなじみの益子樹を迎えています。

もちろん、どこかユーモラスな「shower beige」や、ちょっとブラックミュージックからの影響も感じる(?)「garden loy」など、凝ったサウンドも魅力的なのですが、あくまでもメロディーと歌が作品のメインには据えられていました。

個人的に特に気に入ったのが、アップテンポな曲調ながらも、どこか憂いを帯びたメロディーが印象に残る「cliche」でした。他にも「apres guerre」など、ボーカルの大坪加奈の声が曲の雰囲気にピッタリとあっていて、ポップスミュージシャンとしてのSpangle call Lilli lineの魅力を存分に感じることが出来る1枚でした。

Title:forest at the head of a river
Musician:Spangle Call Lilli Line

forest at the head of a river

一方、こちらはその2ヵ月後にリリースされたアルバム。こちらは6曲入りのミニアルバム・・・ながらも50分に迫る内容のアルバム。toeの美濃隆章を共同プロデューサーとして迎えたこのアルバムは、その美しい音の世界を繰り広げたアルバムになっています。

ピアノやストリングスを中心につむがれた音の世界は、実に魅力的。タイトル通り、森の中を歩いているような、すがすがしい雰囲気が満ち溢れたアルバムになっています。

メロディーラインもポップで心地よいし、ボーカルのクリアボイスも魅力的ですが、立場的にはピアノやバンドサウンドの音と対等。一緒になってその世界を作り出しているという感じのアルバムです。

ラストの「univocal」は14分にも及ぶ壮大なナンバー。ゆったりと流れるピアノの音色に、ドラムスのリズムが心地よいインパクトに。ラストを飾るふさわしいナンバーになっていました。

曲の雰囲気としては似たような部分も多いし、全く異なる、という訳ではないのですが、Spangle call Lilli lineの2つの顔をそれぞれ現したアルバムになっていたように感じました。

ただ、惜しむらくは、どちらもちょっとインパクトは弱かったかな?一曲、核になるようなガツンと来る名曲が欲しかったような感じがします。どちらもいい作品だとは思うのですが・・・。

評価:
VIEW ★★★★
forest at the head of a river ★★★★

|

« 直感的なサウンドとリズム | トップページ | アメリカへの憧憬 »

アルバムレビュー(邦楽)2010年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 2つの顔:

« 直感的なサウンドとリズム | トップページ | アメリカへの憧憬 »