ポップス職人の傑作
Title:ファンタジスタ
Musician:岡本定義
福耳への参加・楽曲提供でもおなじみの、COILの岡本定義によるソロ2作目。
個人的に、COILはデビュー当初から応援しているのですが、そのメロディーラインの良さと反して、なかなか売れません(苦笑)。福耳への提供曲でヒットを出しているので、十分なヒットポテンシャルは持っているとは思うのですが・・・。
まあ、応援していてこんなこと言ってしまうのも何なのですが、おそらく、なかなかヒットをしないのは、曲が地味だからゆえ、ではないでしょうか?正直言って、このアルバムに関しても、パッと聴いて、幅広いリスナーをつかめるような強烈なインパクトはなく、「地味」というイメージがつきまといます。
しかし、だからといって曲が悪いわけではなく、むしろその逆。メロディーに関しては、地味ながらも、聴けば聴くほど良さがにじみ出てくるような名曲。何度か聴くと、知らず知らずにそのメロディーを口づさむようなポピュラリティーを持っています。
そして今回のアルバムは、やはりソロだからでしょうか、アルバムに収録されている曲のバリエーションは豊富。かなり自由度の高いアルバムになっています。
ちょっとフランス音楽風のこじゃれた「ウサギちゃん」からスタート。「シングルス」はムーディーなSaxのイントロが、とても印象的な作品になっています。かわいらしいポップチューンの「魔法を信じるなら」や、フィーキーな「モーニングコール」、漢語調の歌詞とロックなサウンドのバランスがユーモラスな「He Said He Said~論語学而第一~」に、ヘヴィーロック風の「MUSIC MAGIC~音楽の魔法~」は、タイトル通り、音楽への愛情を歌い上げ居ます。ラストの「ぼさのばぶる~す」はタイトル通り、ボサノヴァとブルースを融合させたようなユニークな作品で締めくくっています。
ポップス職人による珠玉のポップスの連続。最初の感触は地味に感じるかもしれませんが、聴き始めれば、きっと岡本定義の世界にはまってしまう、そんな作品です。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
It's Here/カヒミ・カリィ
全編、アコースティックなサウンドに、彼女の美しいボイスがのる、ポップソングの連続。静かな雰囲気の曲が多いのも特徴的。アレンジもメロディーも、彼女のボーカルの良さをとても生かした作品が並んでいました。
評価:★★★★
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