濃ゆい90年代
久しぶりに、最近読んだ音楽関係の本の感想をば。
先日、ミュージック・マガジンの増刊として発売された、90年代の邦楽の名盤ガイド「THE GROOVY 90'S」。最初はパラパラと立ち読みしていたのですが、自分がリアルタイムに聴いてきた年代なだけに、読んでいて懐かしくなり、ついつい購入してしまいました。
この本で、90年代の邦楽シーンをふりかえると、90年代って、本当に濃い時代だったなぁ、ということを感じます。
バンドブームがまだ続き、イカ天がまだ放送されていた1990年からスタートし、トレンディードラマの主題歌がメガヒットを記録した91年から92 年。さらにビーイング系ブーム全盛期が93年。94年くらいから小室系のブームがはじまり、95年には小林武史もマイラバをブレイクさせました。
ビジュアル系がブームになり、さらには宇多田ヒカルのブレイク、モーニング娘。が「LOVEマシーン」をヒットさせた99年。ここまででたった10年なんですよね。他にも、渋谷系が話題になったり、ハイスタがブレイクし、メロコア、メロパンク系バンドがブレイクしたり。
それと比べ、2000年代の10年って、何があったんだろうなぁ?今、ヒットチャートを席巻しているのは、アイドル系にビジュ アル系、さらにはアニメ系なのですが、このうちアイドル系は、モーニング娘。のブレイクは90年代からスタートしていますし、ビジュアル系も同じく。アニ メ系も、「エヴァンゲリオン」が97年近辺には既に社会現象を起こしていますし、林原めぐみや椎名へきるなどの人気声優が、既に音楽チャートでも大ヒット を記録しています。
そう考えると、2000年代で新たにはじまった音楽のムーブメントとしては、中田ヤスタカとPerfumeのブレイクくらいでしょうか。他に、ヒッ トチャートの常連で、90年代にはみかけなかった流れとしてあげられるのが、韓流アイドルというのでは、ちょっと邦楽シーンとしては情けない感じもします。
逆に2000年代にはじまった大きな潮流としては、2001年に発売されたipodでしょう。インターネットのブロードバンド化の急速な進行で、音楽の聴き方や流通形態が一気に変化した10年だった、と言えるかもしれません。そのため、2000年代という10年間は、音楽メディアのあまりにも早い変化に追いつくだけが手一杯で、レコード会社側に新たな音楽ジャンルやムーブメントを発掘するような余裕がなかった・・・のかもしれません。
もっとも一方で90年代は、これだけたくさんのジャンルが大量に生産され、急激に消費されていく、音楽の大量生産・大量消費の時代。だからこそ逆に、表面的なブームに終わってしまい、社会に根付くことが出来ず、現在に至る音楽不況の原因になった、のかも、なんてことも考えてしまいました。
ミュージックマガジン誌の編纂のため、取り上げられている作品は、いわばミュージックマガジン系と言われる作品がメイン・・・のようですが、正直、この時期、ミューマガは読んでいなかったのでよくわかりません(^^;;
ただ、いわばサブカル系のミュージシャンをメインにしながらも、槇原敬之やドリカム、ミスチルのようなメインストリームの他、小室系やモーニング娘。、SPEEDもフォロー。コラムで90年代のシーンにおいてもざっくりと押さえられていました。一方で、ビーイング系はB'z、TUBEも含めて完全にスルーされていましたが。
90年代は、特に前半に関しては、まだ中学生で、いわゆるヒット曲の王道系しか聴いていなかっただけに、聴いていない「名盤」もたくさん。それだけに、このガイドを片手に、興味のあるところから、ちょっとずつ聴いてみようかなぁ。
自分の音楽ライフを振り返るにも、今後の音楽ライフの羅針盤にするにも、とても重宝する、読み応えのある名盤ガイドでした。
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