象とアリ
Title:生渋栗
Musician:川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ
舞台に入りきらないような大人数で、大音量のステージを繰り広げる大所帯バンド渋さ知ラズオーケストラ。4人だけのメンバーが、基本的にリコーダーやウクレレなどのシンプルな楽器とアレンジで演奏する栗コーダーカルテット。
ある意味、この2組、いわば「象とアリ」ともいえる対極的なユニット。栗コーダーの川口義之が、渋さのメンバーでもあったり、いろいろと接点のある両者ですが、「じゃあ、お互いの曲をお互いにカバーしたらどうなるの?」というとてもユニークな視点から、昨年5月に「渋栗」というアルバムがリリースされました。
これは、その「渋栗」リリースにあわせて行われたライブを収録したライブ盤。今回は、自分の曲を演奏する原曲と、相手の曲のカバーを並べて収録しているため、両者の違いが、より鮮明になっています。
そのため、原曲の良さが生かしきれず、いまひとつなカバーもはっきりしたような感じがします。具体的には「ペジエ」の渋さヴァージョン、「火男」の栗コーダーヴァージョンはいまひとつだったように感じました。
しかし一方では、お互いのカバーが見事マッチした曲もありました。あまりのはまり具合に、「あれ、彼らのオリジナルだったっけ?」と思ったほど。具体的には「マヨネーズ第二番」や「Up On A Moon Hill~桂林を下って月の丘に昇る~」の渋さヴァージョンは、渋さの大所帯編成にピッタリと曲がマッチ。「あれ?これ、渋さの曲だっけ?」と思うくらいのはまりようでした。
ちょっとファン向けという要素もあるものの、渋さか栗コーダーのアルバムを1枚でも聴いたことある方には、ユーモアさとあわせて十二分に楽しめるアルバムだと思います。これ、ライブも楽しかったんだろうなぁ。
評価:★★★★★
で、同時に発売されたアウトテイク集がこちら。
Title:割れ渋栗
Musician:川口義之with渋さ知らズオーケストラ
ただ、アウトテイクとはいっても、そこは実力派の彼ら。なんで本編に収録されなかったの?という名演もたくさん。個人的には、ビックバンド風でどこかユーモラスな「ホテルラサール1986(take5)」はとても気に入りました。
でも、全体的には、少々大味な印象も。ライブで聴けば印象は変わるかもしれませんが・・・。「渋栗」「生渋栗」を聴いた後、楽しむのがいいのかも。
評価:★★★★
栗コーダーカルテット 過去の作品
15周年ベスト
夏から秋へ渡る橋
渋栗(川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ)
遠くの友達
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