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2010年8月10日 (火)

美メロを堪能できる充実作

Title:不安の中に手を突っ込んで
Musician:槇原敬之

不安の中に手を突っ込んで

ここ最近、一時期のような大きなシングルヒットに恵まれていない彼。しかし、今回のアルバム、メロディーラインという点においては、全盛期に匹敵するような充実期を迎えているのではないでしょうか?

アルバムの「顔」とも言うべき1曲目「夜空にピース」のサビなど、メロディアスで勢いがあり、かつどこか切なさも併せ持っているという、マッキーらしい本領の発揮された美メロ。表題曲の「不安の中に手を突っ込んで」も、ファンキーでダンサナブルなリズムとメロディーがとても心地よい作品になっています。

(ただ、この曲の「先行き不安なこの国では/子供がもてないというのなら/人類は平成までで終わり/地球はまさに野生の王国」(作詞 槇原敬之)という歌詞に関しては、「お前が言うなよ・・・(^^;;」と思ってしまったのですが(笑))

先行シングルの「ムゲンノカナタヘ~To infinity and beyond~」も、ロッキンなギターをベースに奏でられるポップなメロディーが楽しめますし、さらにラストの「おさらばだ」ではスカパラがゲストで参加!軽快なスカなリズムとポップなメロがピッタリとマッチした名曲になっています。

歌詞の面では相変わらず彼言うところの「ライフソング」が多く、ちょっと説教臭い部分も目立つのですが、ある種、そんな不満を補って余りあるような美メロが楽しめる充実作になっています。

また、夏川りみに提供した曲のセルフカバー「フルサト」は、どこか名曲「遠く遠く」を彷彿されますし、なにより素晴らしかったのが、このアルバムに収録されているラブソングでした。

「冬のコインランドリー」は、タイトル通り、コインランドリーでの恋人同士の日常を描いた作品。冬のコインランドリーを舞台に、恋人を思う男性の心理を上手く描いたこの作品は、実にマッキーらしい暖かさあふれる素敵なラブソングになっています。

そしてユニークだったのが「In love again?」。「40歳のおっさんの恋」がテーマになったそうですが、そこで描かれるのはあまりに純粋な、マッキーらしい片思いソング。つーか、普通、40歳男の恋愛をテーマにしたら、もっと「余裕のある大人の恋愛」を描きそうなところを、こんな中高生みたいな青臭い片思いを書いちゃうところがマッキーらしいなぁ(笑)。

さすがに既婚者であるので、高校生の時に聴いたマッキーの曲のようなリアリティーはないのですが、男って、恋愛感情に関して何歳になっても中高生みたいな青臭い面を持っていたりするので、なんとなく気持ちはわかるような気もしちゃいます。

ここらへんのラブソングは、マッキーの代表曲になりそうなほどの名曲・・・というか、このレベルの曲をさらっと書いてくるあたり、まだまだ彼は全く衰えていないなぁ~なんてことを考えてしまいます。

特にメロディーの面では、勢いを感じさせる傑作でした。そろそろ、また大きなヒットが生まれそうな予感も・・・。

評価:★★★★★

槇原敬之 過去の作品
悲しみなんて何の役に立たないと思っていた
Personal Soundtracks
Best LOVE
Best LIFE


ほかに聴いたアルバム

#2/AA=

#2

マドカプの上田剛士によるソロプロジェクト2枚目。基本的にマドカプ路線を継承したデジタルロックなのですが、「GREED...」のように、前作よりもハードコア路線により傾いた感じ。一方では「F」のようにポップな作風な曲もあったり、マドカプファンなら文句なく楽しめる作風。ただ、マドカプに比べると、どうしてもインパクトの薄さを感じるのは、ボーカルがあまり前面に出ていないから?

評価:★★★★

AA= 過去の作品
#1

I WANT YOU/PE'Z

I WANT YOU

ベートーベンの「運命」からはじまり、ポップチューンのタイトル曲「I WANT YOU」にファンキーな「ヘイ!ロボ・ダンシン」。ディープパープルの名曲をもじったような「ハイウエスター」はスピード感あふれるナンバーに、ラストの「灼熱のLAバンピー~愛と平和のSAMBA~」はタイトル通りのサンバと、バラエティー豊かな内容ながらも、全体的には軽い感じ。聴いていて、すんなり楽しめて、ライブも盛り上がりそうだなぁ、と思う反面、もうちょっと毒があった方がおもしろいのでは?とも感じました。

評価:★★★

PE'Z 過去の作品
1・2・MAX
ギャロップ(pe'zmoku)
ペズモク大作戦(pe'zmoku)

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コメント

 ご無沙汰しております。
 最近のマッキーの曲はライフソングのほうが、アレンジやメロディーは凝っている印象がありますね。ラブソングの出来が相変わらず高いのをみると、うまく2つを融合できた曲が出てくれば・・・と思うのですが、そうはうまくいかないんだろうなぁ。

投稿: げどー | 2010年8月12日 (木) 23時15分

>げどーさん
お久しぶりです!
>ライフソングのほうが、アレンジやメロディーは凝っている印象がありますね。

ああ、確かにそうかも。このアルバムも、ライフソングの方が、曲としては凝った曲が多いですよね。ラブソングも曲としてはいいと思うのですが。
本当に、この2つが融合すれば、以前みたいなとんでもない傑作が産み出してくれそうなんですけどね・・・なかなか上手くいかないですね~。

投稿: ゆういち | 2010年8月13日 (金) 10時53分

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