パッションはいつも通りだけど
Title:shinsekai
Musician:ミドリ
正直言ってしまうと、ミドリみたいな初期衝動を音楽にダイレクトにぶち込むようなタイプのバンドにとって、同じテンションで何枚もアルバムをリリースするというのは至難の業だったりします。
最初に受けた衝撃は、枚数を重ねるごとに薄れていってしまいますし、そもそも、楽曲がワンパターンになりがちですしね。
私にとっても、彼女たちのアルバムで一番衝撃を受けたのは、やはり一番最初に聴いた「セカンド」でした。
その後にリリースされた「清水」も「あらためて、はじめまして、ミドリです。」も、いずれも傑作であったとは思うのですが、「セカンド」をはじめて聴いた時の衝撃に比べると・・・と思ってしまいました。
で、メジャー3枚目となる本作。彼女たちも、同じテンションを保つのは難しいというからでしょうか、「スピードビート」では、ちょっとジャジーなピアノやベースラインが耳に残りますし、「春メロ」では、ハジメが初めてボーカルを取る切ないポップソングを聴かせてくれるなど、パンキッシュ一本やりではない、ということを主張するような曲もチラホラ。
そもそも、いままでひたすら顔を隠していたボーカルの後藤まりこの顔を、おもいっきりアップでのせたジャケット写真も、いままでと大きく異なりますしね。
それでもやはり、「セカンド」で感じた衝撃は、徐々に薄れてきているなぁ・・・。
もともとメジャーデビューして以降の曲は、ポップで聴きやすい雰囲気にまとまっているし、エロチックでドギツイ歌詞は、少なくなってきているし・・・ここらへんは、メジャーでのリリースゆえの宿命でしょうか??
ただ、衝撃が薄れている、とはいっても、アルバム全体の出来としては決して落ちていないとは思うんですよね。
実際、このアルバムでも「あたし、ギターになっちゃった!!!!!」などはミドリらしい傑作。パンキッシュなバンドサウンドながらも、どこかリズムは祭囃子を取り入れたようなリズムですし、ピアノとベースはどこかジャジーだし。ついつい聴きほれてしまいます。
多分、一番最初に聴くアルバムがこのアルバムならば、十分衝撃を受けた傑作だったと思うんですよ。そういう意味では、彼女たちみたいなタイプのバンドは、なかなか難しいですよね。徐々に、新たな音楽性を開拓していくのか、パンキッシュな路線をさらに追及していくのか・・・これからが正念場かも?
評価:★★★★
ミドリ 過去の作品
清水
あらためて、はじめまして、ミドリです。
ライブ!!
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