不気味なリズムに独特な魅力
Title:move of ten
Musician:Autechre
前作からわずか4ヶ月というインターバルを置いてのリリースとなるAutechreの新作です。
前作「Oversteps」から、すぐにリリースされた新作。ということで、前作とはある意味対照的な作品になっています。前作が、彼らにとってはどちらかというとポップでメロディアスな作品になっていたのに対して、今回の作品は、彼ららしい、無機質で不条理的なリズムを前面に押し出した作品になっていました。
次から次へと繰り広げられる、無機質な電子音の連続に、リズムは、実にAutechreらしいといえる作品かもしれません。メロディアスだった前作に比べると、直感的に「ああ、Autechreだなぁ」という感想を抱く作品になっていました。
加えて独特なのは、アルバムの、特に前半に顕著な不気味な空気感。「pce freeze 2.8i」や「nth Dafuseder.b」などといった雰囲気の曲が、リスナーを、ある種の不気味で不思議な空間に迷い込ませるような、独特な魅力を感じさせてくれます。
そして終盤。丸みを帯びた音が優しい雰囲気を感じる「M62」が、そんな不気味の世界から抜け出したようなほっとした気分を味あわせてくれたかと思えば、「Cep puiqMX」は一種壮大な世界観を感じられ、いわばクライマックスのよう。最後の「ClnChr」はミニマルなナンバーながらも、こちらも音に不気味さを感じられる・・・ある種最後の最後まで、彼らがつくりだす世界から抜け出せないような、そんなアルバムでした。
そんな魅力的なアルバムなのですが、斬新さという点では、以前の彼らに比べると、やはり弱い部分も否定できません。上にも書いた「ああ、Autechreだなぁ」という感想も、一種のマンネリズムの表れ、ともいえるかもしれません。ファンにとっては魅力的で楽しめるアルバムだとは思うのですが・・・。
評価:★★★★
Autechre 過去の作品
Quaristice
Oversteps
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