歌謡曲とJ-POPの狭間で
Title:ザ・ベストテン
昨年の4月に発売され、好評を博した「ザ・ベストテン」のコンピレーションアルバムの第2弾がリリースされました。
今回発売されたのは、第1弾コンピレーションの範囲からはずれた「1986-87」「1988-89」の2枚と、前回のコンピレーションでも収録された「歌謡曲編」の第2弾「歌謡曲編2」、「スポットライト編」の第2弾「スポットライト編2」、そしてベスト10にランクインされたものの、1度も歌われなかった曲を集めた「リクエスト編」の5枚が発売されています。
「ザ・ベストテン」はご存知TBS系で1978年から1989年にかけて放送されていた歌番組。最高視聴率が40%を超えるなど、今から考えるととんでもない人気を博したお化け番組でした。
今回のアルバムに収録された曲を見ると、おそらく気がつくであろうこと、それは、90年代に「J-POP」と称されるような曲が多くを締めているという点でしょう。
「1986-87」に収録されているTUBEは、90年代に一世を風靡するビーイング系のさきがけですし、渡辺美里や「1988-89」に収録されているTM NETWORKはまさに小室系のさきがけ的存在です。
他にも徳永英明やプリプリ、爆風スランプ、ZIGGYなど、80年代にテレビの音楽番組を彩ったアイドルや歌謡曲のミュージシャンたちにかわり、90年代のヒットシーンの中心的存在になるバンドやシンガーソングライターの曲が多く収録されています。
歌謡曲からJ-POPへ時代が移り変わる端境期ともいえるこの時期。今回のコンピレーションの範囲になる1986年から89年は、「ザ・ベストテン」の最晩期にあたるのですが、歌謡曲の歌い手達がヒットシーンからフェイドアウトしていくのと同時に、「ザ・ベストテン」も終わりを迎えた・・・ということが、コンピレーションからもはっきりと感じられます。
個人的に、学校などで「ヒット曲」が話題になるころにヒットしていた曲も多く、同世代とカラオケなどに行くと、よく歌われるレパートリーも多いこの時代。それだけに、第1弾以上に懐かしさを感じるコンピレーションでした。
ただ・・・これだけの大型の企画なのですが、コンピレーションとしての魅力は、「ザ・ベストテン」という名前がなかったら、ひまひとつ、といわざるを得ません。
前作ではコラムや関係者へのインタビューが歌詞カードについていたのですが、今回はそれもなし。歌詞カードについているのは名前どおり「歌詞」のみで、リアルタイムに聴いていた世代が懐かしく感じられるような情報や、興味を持った若い世代が、他の曲も聴いてみようと思わせるような情報もありません。
正直、こんな内容のCDをつくっていたら、ネット配信に太刀打ちできないと思いますよ。
関係者だからこそ入手できる、GoogleやWikipediaでは得られないような情報を、歌詞カードに織り込めば、それを目当てにCDを手に取るようなリスナーも多くなると思うんですけどね。こういうところに手を抜いてしまうのは、本当に残念です。
とはいえ、収録されている曲は、今でも歌い継がれるような名曲がたくさん。とても懐かしさを感じるコンピレーションアルバムでした。
で、その5枚個々の感想は、また明日に。
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