ポップで楽しいロックンロール
Title:毛皮のマリーズ
Musician:毛皮のマリーズ
ここ最近、おもしろい新人バンドが次々とデビューしていますが、彼らも、今話題のバンドの一組でしょう。もっとも、インディーデビューからは5年も経っており、そろそろ中堅の域のバンドなのですが・・・。
ちょっと怪しいジャケット写真といい、毛皮のマリーズという名前といい、ちょっとアングラちっくな雰囲気を感じます。(てっきり、ミュージシャン名は、裸のラリーズのパロかと思ったら、Wikipediaによると寺山修司の戯曲から来ているんですね。もっとも、両方かけているのかもしれませんが・・・)
ただ、楽曲の方は、ポップで聴きやすく、なによりとても楽しい雰囲気に仕上がっているのが印象的でした。ちょっと村八分とかそこらへんの、昔の日本のアングラロックの雰囲気も感じるのですが、60年代70年代あたりの、古き良き時代のロックンロールをそのまま引き継ぎつつ、現代風の要素も入れた、バラエティー豊かな作風で楽しませてくれます。
グラムロック風の「ボニーとクライドは今夜も夢中」からはじまり、まんまストーンズの「COW GIRL」に、アメリカの広大な荒野を感じるような、陽気なロックンロールナンバー「バンドワゴン」、さらにブルージーな「それすらできない」は、忌野清志郎が亡くなった時に出来たナンバーだそうです。
終盤も、カントリー風の「金がなけりゃ」や、女性ボーカルで、ちょっとアイドルポップ風(?)の「すてきなモリー」など、様々なタイプの曲が最後まで続きました。
彼らの曲は、70年代のロックや、ソウル、ブルースなどの要素を取り込みながらも、自分たちの音楽としてユーモラスにまとめあげています。いろいろなレビューサイトなどを見ても、忌野清志郎あたりとの比較している方が多かったのですし、その影響も強く感じるのですが、音楽に対するスタンスや、楽曲への取り込み方も、なんとなくキヨシローに似ているなぁ・・・なんてことを感じました。
古き良きロックに強く影響を受けながらも、同時に最近のギターロックの要素なども感じ、決して「過去」だけにこだわっていない点も、キヨシローと似たようなスタンスに感じます。なによりも、楽曲全体から感じるユーモアセンスやポップセンスが大きな魅力でした。
ちょっとしゃがれた、独特の志磨遼平のボーカルも、妙に耳に残って印象的。好き嫌いは分かれるかもしれませんが、ただ、彼らにとっては大きな武器のように感じます。
リズミカルでテンポのよい楽曲も多いだけに、ライブでも映えそうな感じ。特に「バンドワゴン」あたりはライブで盛り上がりそうだなぁ~。次々とおもしろいバンドが出ていて、活況を帯びている最近のシーンですが、彼らも、そんな日本のロックシーンを、どんどんおもしろくしていってくれそうです。
評価:★★★★★
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