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2010年7月 5日 (月)

いまなお衰えない歌声

Title:NOTHING'S IMPOSSIBLE
Musician:SOLOMON BURKE

ナッシングズ・インポッシブル

ほぼ1ヶ月前、「JAPAN BLUES&SOUL CARNIVAL」に出演するため、初来日し、話題となったソロモン・バーク。私も、その名古屋公演を見に行きました。実は、それまでソロモン・バークは名前くらいしか知らなかったのですが、その余りに素晴らしいステージパフォーマンスに感動。代表曲が収録されたベスト盤も思わず買ってしまい、そして、先日発売されたばかりの、この最新アルバムももちろん購入しました。

「JAPAN BLUES&SOUL CARNIVAL」名古屋公演のライブレポ

ソロモン・バークは、1940年生まれの御年70歳。もともと、7歳の頃から、教会で説教をはじめ、当時は「驚異の説教坊や」と呼ばれていたそうです。その後、60年代はアメリカの名門レーベルアトランティック・レコードで活躍。数々のヒット曲をリリースし、ローリング・ストーンズなどにも影響を与えたそうです。その後は、アトランティック・レコードをやめ、様々なレーベルを転々としていたそうですが、80年代にはゴスペルのアルバムがグラミー賞にノミネートされるなど、人気が復活。2001年にはロックの殿堂入りを果たし、2002年には「Don't Give Up On Me」で、グラミー賞最優秀コンテンポラリー・ブルース・アルバム部門を受賞するなど、今なお活躍を続けています。

今回のアルバムで大きな話題となったのが、今年1月、惜しまれながらこの世を去った、ソウル・ミュージックの伝説的なプロデューサー、ウィリー・ミッチェルがプロデュースを手がけたという点。70年代にHi Recordの社長に就任し、アル・グリーンなど、数多くのソウル・ミュージシャンのプロデュースを手がけたそうで、2008年には、グラミー賞功労賞をおくられている、ソウル・ミュージックの代表的なプロデューサーだそうです。

そんなソウル・ミュージックを代表する2人の大物がタッグを組んだ最初で最後のアルバムということで話題となった今回のアルバム。バラード曲など聴かせるナンバー中心の選曲で、ソロモン・バークの魅力的な歌声を、これでもかというほど聴かせてくれます。

やはり一番驚かされるのは、70歳になっても全く衰えを感じさせないその歌声でしょう。時にはやさしく、時には力強く、そして時には色っぽく、その歌声は、いまなおとても魅力的。このアルバムのタイトル曲の「Nothing's Impossible」のように、優しく歌声を聴かせてくれたかと思えば、ソウルフルなシャウトも入れてきたり、1曲の中でも様々な表情を見せてくれます。

アレンジも、ストリングスやホーンなどを用いながらも、決してソロモン・バークの歌よりも前に出ることはなく、必要以上に仰々しくならない、絶妙なバランスで歌を盛り上げてくれます。ある意味、「王道」的なソウルのアルバム。それだけに、より、ソロモン・バークの実力を感じることが出来ました。

途中、「You're Not Alone」のような、アップテンポな曲もあり、「The Errors Of My Ways」のような、ちょっとジャジーな雰囲気を感じる曲もあり。最後の「IT MUST BE LOVE」のアンプラグドバージョンは、ボーナストラックなのですが、これでもかというほど叙情的に歌うあげるボーカルを、ピアノやストリングスなどシンプルなアレンジで聴かせ、アルバムの最後を締めるにはふさわしいバラードになっていました。

何度聴いても、ついついその歌声に聴き入ってしまうアルバムです。1ヶ月前のあの興奮のライブが甦ってくるよう・・・。素晴らしい作品でした。

評価:★★★★★

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