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2010年7月13日 (火)

闇から光へ?

Title:FUNKASTiC
Musician:スガシカオ

FUNKASTiC

スガシカオの曲の主人公といえば、よく、どこか心に孤独か闇を抱えている人を主人公としています。

それが、例えば今回の曲で言えば、「サヨナラホームラン」「兆し」あたりでしょうか?その中でも、ちょっとユニークなのが「サヨナラホームラン」。

「明日という言葉は どうして明るいって書くんだろう?
明るい日じゃなかったら 誰も明日を待たないからか…」
「どこかじゃなくここで いつかじゃなく 今 この時を…」

(「サヨナラホームラン」より 作詞 スガシカオ)

と、暗い闇の中に、どこか一歩踏み出そうとする前向きさを感じる曲なのですが、歌詞が、よくありがちなJ-POPの歌詞を皮肉った内容みたいに感じません?

一方で、「兆し」の

「二人は同じ 光をもとめてる
その光が いま見えないとしても」

(「兆し」より 作詞 スガシカオ)

のような、闇の一方で、「光」というキーワードも歌詞の中によくちりばめられていたような印象を受けます。孤独を感じる主人公が、光を求めている・・・どこか希望も感じさせます。

また、アルバム全体としてはバリエーションが多く、様々なタイプの曲をバランスよく収録しているようにも感じました。

ホーンセッションも取り込んだ、ファンキーな「91時91分」や、エレクトロなファンクチューン「台風は北北東へ進路をかえ…」など、ファンクの影響を強く感じさせるナンバーを軸に、「雨あがりの朝に」のようにメロディアスなポップチューンや、タイトル通り、夏らしい爽やかな「夏色タイム」など、バリエーション豊かな作風は、最後までリスナーを飽きさせません。

「ドキュメント2010~Singer VS Rapper~」「はじまりの日」では、RHYMESTERのMummy-Dもゲストとして参加し、ファンクとラップの共演を聴かせてくれています。

歌詞でも、エヴァンゲリオンにインスパイアを受けたような、その名もズバリ「ファンカゲリヲン」や、妄想爆発のエロ歌詞が怪しい(人によっては、ちょっと引くかも(笑))「軽蔑」など、要所要所にユニークな歌詞の楽曲が配されて、聴きどころはたくさん。

今回のアルバムは、安定感があり、とてもバランスが取れた名盤だったのではないでしょうか?最後まで耳の離せない、そんな楽しい1枚でした。

評価:★★★★★

スガシカオ 過去の作品
ALL LIVE BEST
FUNKAHOLiC


ほかに聴いたアルバム

REAL WORLD/KOKIA

REAL WORLD

今回のアルバムは、タイトル通り、現実世界=私たちが住むこの美しい星、地球 をテーマにしたのでしょうか?環境保護について歌ったような曲もあります。彼女らしい、ファンタジックな作風は、例えるならば、緑豊かな森の中の、美しい池のほとりで流れてきそうな音楽のようでした。

評価:★★★★

KOKIA 過去の作品
The VOICE
KOKIA∞AKIKO~balance~
Coquillage~The Best Collection II~

中央線/木根尚登

中央線

タイトル通り、「中央線」をテーマにしたコンセプトアルバムで、「高尾」からはじまって、「東京」まで、東京の中央快速線の主要駅をテーマとしてタイトルに読み込んだ曲が続いていきます。吉祥寺のいせやや、国立では、タイトルそのまま「国立マギー・メイ」など、沿線のお店などを読み込んだ内容は、沿線住民には、どこか馴染みのある歌詞に仕上がっています。

楽曲は、彼の原点ともいうフォーク。「三鷹ブルース」みたいなタイトル通り、ブルース調の作品もあるものの、そのまんま60年代の四畳半フォーク。ある意味、昔の時代をそのままもってきたような内容で、そういう意味では、新鮮味などには欠ける部分もあるのですが、木根尚登の原点をそのまま再現したこのアルバムには、彼のフォークソングにかける愛情を感じることが出来ました。

作風はちょっと時代を感じさせるものの、TM時代のいわゆるキネバラが好きなら気に入るのでは?個人的に、学生時代に中央線沿いに住んでいただけに、その点も含めて楽しめたアルバムでした。

評価:★★★★★

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