やはり声優ミュージシャンといえば
Title:everywhere
Musician:坂本真綾
最近、ヒットシーンをにぎわすいわゆるアニソンの中、声優ミュージシャンの代表格のように取り上げられるのが、「アニソンの女王」水樹奈々。ただ、個人的には、声優で、ミュージシャンで、という代表格は、やはり坂本真綾だろう・・・と思っているのですが。
で、デビュー15年目を迎える彼女のベストアルバム。
個人的に、こんなことを言うと、ファンからの反発を招きそうなのですが・・・
坂本真綾というと、菅野よう子とのコンビが、高い評価を受け、ファンからの人気もあります。ただ、菅野よう子の作品は、クオリティーも高く、完成度も高い良質なポップスであるのは間違いない反面、ちょっと職業作家的というのか、隙がないというのか、出来上がりすぎているように感じていました。
ここ最近、坂本真綾も菅野よう子の手を一度離れ、様々なミュージシャンとコンビを組んでいます。おそらく彼女にとって、新たな可能性を模索しているのでしょう。菅野よう子とのコンビに、いい意味でも悪い意味でも隙のなさを感じていただけに、様々なミュージシャンとのコラボで、個人的には、彼女の可能性が大きく広がったように感じました。
そして、その中で、再び菅野よう子との作品も再び歌いはじめた彼女は、ある意味ミュージシャンとして大きな成長を遂げ、ひとつの壁を超えた、と感じたのでしょうか?そんな中で発売された今回のベストアルバムは、坂本真綾のミュージシャンとしての一つの区切り、を意味するのかもしれません。
このベスト盤におさめられている楽曲は、どれも良質なポップスである反面、いい意味でも悪い意味でもバリエーションが多いのが印象的。ちょっと仰々しいメロディーが、いかにもアニソン的な「ヘミソフィア」や、洋楽テイストの強い「ダニエル」、テンポよい打ち込みのリズムが印象的な「30minutes night flight」に、西洋民謡風の「ポケットを空にして」などなど。ここらへん、坂本真綾としての方向性が、若干ぼやけた部分も感じられるのですが、この点、最近のアルバムでは、しっかりとしたベクトルを感じる作品も多いので、今後は、さらに、ミュージシャン坂本真綾としての世界を見せてくれるのではないでしょうか?
ここ最近のアルバムは、さらなる彼女の成長を感じることが出来るだけに、このベスト盤で一区切り、さらなる飛躍を見せてくれるような予感もします。「アニソン」が一種のブーム的になりつつあるのですが、その中でも、変わらない実力で、魅力的なポップソングを聴かせてくれそう。これからも楽しみです。
評価:★★★★★
坂本真綾 過去の作品
かぜよみ
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2010年」カテゴリの記事
- ネット配信の可能性と疑念(2011.01.05)
- 歌詞はひいてしまう人もいるかも・・・。(2011.01.03)
- 2人の主人公を軸に進む物語(2011.01.02)
- アメリカの香りが(2010.12.30)
- アバンギャルド(?)なポップスバンド(2010.12.28)
コメント