フォーキーなメロが特徴的
Title:風と凪
Musician:熊木杏里
私が、熊木杏里の曲をはじめて聴いたのは、3rdシングル「今は昔」でした。四畳半フォーク風のマイナーなメロディーから入るものの、サビでは一気に転調し、明るいメロディーに。しかし、どこか切なさを感じるメロディーが特徴的で、一気に、気になるミュージシャンになりました。
ただ、その後聴いたアルバムは、「今は昔」で感じた期待を上回るものではなく、正直なところ、いまひとつ。その後も、要所要所で、名曲と感じられる曲は出すものの、アルバム単位になるといまひとつ、と感じるアルバムが続いています(最新作「はなよりほかに」は良かったとは思いますが)。
ある種の典型的なシングル・ミュージシャンなのでしょうか?シングル単位では、名曲が多いのですが・・・。
今回リリースされた彼女はじめてのベスト盤。そんな彼女だけに、過去の作品の中から選抜された曲は名曲ぞろい。ベスト盤、だから当たり前ですが、文句なしの内容になっています。
私が、最初に彼女のことを知った「今は昔」は残念ながら収録されていないのですが、特にメロディーがよかったのは、デビュー曲の「窓絵」かなぁ。ちょっと2000年代の、それも20代の若い女性が歌ったとは思えないメロディーが印象的です。もちろん、いい意味でね。
また、「戦いの矛盾」は、今、豊かな国で生活している中で歌うことの意味を激しく問いかけている歌詞。「長い話」も、彼女の人生を振り返り、生きていく意味を問いかけた作品。どちらも、その内容は心に響いてきます。
フォークソングからダイレクトに影響を受けたメロディーも、ちょっと達観したような部分もある歌詞も、老成したような部分も感じられます。ただ、そういう部分も含めて、彼女の世界観であり、そして大きな魅力なのでしょう。
このベスト盤に収録された楽曲レベルの曲を、アルバム単位でも多く聴かせてくれれば、一気にブレイクするとは思うのですが・・・。最新作「はなよりほかに」は、よく出来た傑作だっただけに、ブレイクも近いかもしれませんが。とりあえず、彼女の入門盤としては最適な作品。お勧めです。
評価:★★★★★
ほかに聴いた作品
Ballad Collection Mellow/DOUBLE
DOUBLEといえば、日本のR&Bシーンの中でも数少ない、色気を感じさせてくれる大人のミュージシャン。それだけに、バラードも名曲が多い・・・・・・はずなのですが、さすがに、バラードだけ続くと、ちょっとだれるかも。やはり、アップテンポのノリのいい曲がバラードの中に入ってくるからこそ、バラード曲が生きる、ということかなぁ。
評価:★★★★
DOUBLE 過去の作品
10 Years Best WE R&B
THE BEST COLLABORATION
≠/cali≠gari
正式には、cali≠gariの真ん中と同じく、≠を90度回転させたタイトルで、読み方は「ジュウイチジャナイ」らしいです。昨年から、消費期限付で復活している彼らの、ラストとなるオリジナルアルバム。3種類同時発売なのですが、CDだけのを「良心盤」と名づけ、DVD付の2種類を、それぞれ「姑息盤」「卑劣盤」と名づけているあたりが、彼ららしい皮肉精神満載といった感じです(笑)。
楽曲は、比較的シンプル・・・というか、普通の感じの作品が並んでいました。ヘヴィーロックをメインに、曲によってはエレクトロの要素も取り入れたり、もっとポップな路線を目指していたり。「普通」とはいっても、曲によってその色合いが変わるのが、最後まで彼ららしいところでしょう。
これで最後、というのはちょっと残念な反面、思ったよりも「普通」な曲が集まっていたこのアルバムを聴くと、cali≠gariとしてやりたいことはやりつくしたのかなぁ、とも思います。メンバーそれぞれのこれからの活躍に期待したいところです。
評価:★★★★
cali≠gari 過去の作品
10
cali≠gariの世界
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コメント
深夜番組のEDで流れてきた『今は昔』は
強く印象に残りました
『なによりほかに』聴いてみます
投稿: ヒノキオ | 2010年6月15日 (火) 07時36分
>ヒノキオさん
アルバム「はなよりほかに」は、彼女の中では一番の傑作でした。このベスト盤か、「はなよりほかに」、是非とも一度聴いてみてください~お勧めです。
投稿: ゆういち | 2010年6月15日 (火) 21時31分