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2010年6月15日 (火)

アニソン+ゲームミュージックmeetsラップ

Title:RAP GIFT EP
Musician:らっぷびと

RAP GIFT EP

ネット発で大きな話題となったラッパー、らっぷびとの、ミニアルバム。もともと彼は、アニソンやゲーム音楽などをラップアレンジをした楽曲を動画サイトに投稿し、大きな話題となったそうです。ただ、前作「RAP MUSIC」では、メジャーデビューということでより一般層を意識したのでしょうか、そういうアニソンやゲーム音楽を、直接題材にしたような曲はありませんでした。

逆に今回のアルバムは、意識的に、アニソンやゲーム音楽の要素を、より多くミニアルバムに入れてきています。例えば「トルネード」は、影山ヒロノブをフューチャーした王道のアニソンといった雰囲気のサビが印象的ですし、「ボンバーマンらっぷ」はタイトル通り、あのゲーム「ボンバーマン」のテーマとした楽曲。また、「Like!Like!Like!」でも、人気声優の桃井はるこをフューチャーしています。

そんなアニソンやゲーム音楽の要素を多く取り入れていながらも、一部のいわゆるおたく層のみにアピールするものではなく、あくまでも(いい意味で)万人受けを目指す、ポップな内容に仕上げているのが、彼の大きな魅力だと思います。

前にも書いたと思うのですが、例えば初音ミクのような、ネット発のヒットって、流れとしてはとてもおもしろいと思うし、今後の音楽シーンの起爆剤とも十分なりうると思っている一方で、ちょっと内輪受け的な部分というか、ネットコミュニティーの中にのみ向けられたような曲が少なくない点が、気になっていました。

しかしそんな中、彼はあくまでもネットコミュニティーの文化的要素を取り込みつつも、決してネットコミュニティーだけではなく、ネットの外にもアピールできる楽曲を作り上げています。

「Just Be Friends」は、エレクトロなサウンドが心地よいダンスチューンに仕上がっていますし、アップテンポなパーティーチューンの「オーディエンスを湧かす程度の能力」はタイトル通り、オーディエンスを湧かすには十分すぎる楽曲になっています。

まあ、その結果、いまはやりの泣きメロ系のような楽曲があったり、ちょっと売れ線狙いの曲もあったりと、うーん・・・と思ってしまう曲もあったり、他のミュージシャンに似たような雰囲気の曲もあったりと、ちょっと残念な部分もありました。

ただ、ネットカルチャー発で、十分ネットコミュニティー以外のリスナーを惹きつけてヒットを狙えるアルバムだと思います。今後がまだまだ楽しみなミュージシャンです。

評価:★★★★

らっぷびと 過去の作品
RAP MUSIC


ほかに聴いたアルバム

素生/松本素生

素生

GOING UNDERGROUNDのボーカル松本素生によるソロ。SxOxU名義のソロの時は、90年代オルタナロックの影響を前面に押し出した曲がメインだったのですが、本名名義の本作は、アコースティックなテイストのメロディーと歌詞を聴かせる曲がメイン。また、歌詞も、生活感のあふれるラブソングが多く、「バトってハニー」などは、結婚から十数年くらい経ったような夫婦がテーマというユニークな題材。ラストは、桑田佳祐の「悲しい気持ち(JUST A MAN IN LOVE)」をカバーしており、SxOxUとは違う、松本素生の、邦楽からの影響が垣間見れる作品になっていました。

評価:★★★★

ATTRACTIONS! KONISHI YASUHARU Remixes 1996-2010/小西康陽

ATTRACTIONS! KONISHI YASUHARU Remixes 1996-2010

小西康陽のリミックス作品を集めたリミックスベスト。2枚組で、Disc1は洋楽や、洋楽の影響を強く受けた邦楽がメイン。Disc2は、ベタベタの歌謡曲がメインの選曲になっています。Disc1の、軽快なポップソングの数々も楽しいのですが、Disc2の歌謡曲もまた、日本的な泥臭いメロディーを、小西康陽が上手く調理していて、おいしい部分だけを取り出しているといった感じで、Disc1の楽曲と同じ流れで楽しめるようなアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

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