前作のようなサイケデリックな雰囲気は薄いけれども
Title:CONGRATULATIONS
Musician:MGMT
前作「Oracular Spectacular」が大きな話題となり、一気に注目を集めたアメリカの2人組バンド。前作の評判の良さから、この新作への注目も集まり、ビルボードでは、なんと2位という大ヒットを記録しています。
ただ、この作品、前作のような、ドリーミーでサイケデリックな雰囲気をイメージすると、少々肩透かしをくらうかもしれません。
カテゴライズすれば、確かにこのアルバムも「ドリーム・ポップ」というジャンルでカテゴライズされるのかもしれません。が、全体的には、幻想的な雰囲気は薄め。「I Found a Whistle」や「Lady Dada's Nightmare」あたりは、ちょっと幻想的な雰囲気を出しているものの、アルバム全体としては、比較的アレンジもシンプルな、ポップアルバムに仕上がっていました。
そういう意味で、このアルバム、評価は賛否両論。ただ、個人的には、そんなによくない出来かなぁ~というのが正直なところです。
特に、MGMTの大きな持ち味であるメロディーの良さは本作も健在でした。「It's Working」や「Song For Dan Treacy」は、どこか懐かしさも感じるようなメロディーが印象的でしたし、終盤の「Congratulations」も、静かなアレンジで、ポップなメロディーをしっかり聴かせる楽曲に仕上がっていました。
確かに、サイケでドリーミーなアレンジが新鮮でインパクトのあり、年間ベストに様々な雑誌で選ばれた前作に比べると、少々薄味なのは事実でしょう。ただ、この作品もこの作品で、MGMTの魅力をしっかりと感じることが出来た作品だったと思います。
さて、今回の作品でちょっとおもしろかったのは、アルバムの至るところで、ミュージシャンの名前が顔を出すところでした。
「Song For Dan Treacy」で捧げられている「Dan Treacy」とは、Television Pesonalitiesというバンドのリーダーだそうですし、タイトルそのまま「Brian Eno」という曲もありますし、Lady Gagaならぬ「Lady Dada's Nightmare」という楽曲もありますし・・・。
そういえば、椎名林檎も自分のアルバムで、様々なミュージシャンの名前を出したりしていましたが、自分の尊敬するミュージシャンたち(Lady Gagaの名前は微妙ですが)を簡単に自分の曲に登場させる感覚は、最近の若者の感覚といった感じなのでしょうか?(って、椎名林檎は、もう「最近の若者」ではないですし、彼らも、もう20代後半みたいなので、「最近の若者」と言ってしまうのは、ちょっと違うのかもしれませんが)
前作から、過度な期待をして・・・となってしまうと、ちょっと期待はずれになってしまうかもしれませんが、これはこれで、十分「傑作」といえる内容だっと思います。次回作はどういう方法に進むのでしょうか?ただ、この美しいメロディーラインがあれば、またたくさんの名曲に出会えそうです。
評価:★★★★★
MGMT 過去の作品
Oracular Spectacular
ほかに聴いたアルバム
I Started Out With Nothin And I Still Got Most Of It Left/Seasick Steve
邦題「人生やりなおしブルース」。まさにそのタイトルの通り、御年60歳にしてブレイクした、白人ブルースシンガー。今年のBRIT AWARDにノミネートされて話題になりました。昔ながらのブルース路線から、もうちょっとロック路線に近いような作品まであって、コアなブルース好きから、ロックリスナーまで楽しめそうな作品。やはり年季の入ったブルースは、心に響くものがありました。
評価:★★★★★
Grace/Wastelands /Pete Doherty
ご存知、リバーティンズ、ベイビー・シャンブルズのピート・ドハーティの、初となるソロアルバム。そのイメージ・・・からすると、かなり意外な感じの、アコースティックな内容。ジャジーな作品やら、下手すればムード音楽?な楽曲まであったり、意外な音楽性の広さを感じました。
評価:★★★★
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