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2010年5月 9日 (日)

メンバーそれぞれの嗜好がわかる

Title:QUADRINITY~MEMBER'S BEST SELECTIONS~
Musician:L'Arc~en~Ciel

QUADRINITY ~MEMBER’S BEST SELECTIONS~

ラルクがベスト盤をリリースするのは、実質上、これが3度目。ちょっと出しすぎなんじゃないか?なんてことも言いたくなるのですが、今回のベスト盤はちょっとユニーク。豪華4枚組(初回盤は+DVDの5枚組)という内容になっているのですが、メンバーそれぞれが、自ら作曲したナンバーからセレクトした曲をCD1枚に収録されているのです。

メンバー全員が作曲を担当するラルクですが、こうやってメンバー別に聴いてみると、そのメンバーの好みがはっきりと感じられておもしろいなぁ、と思います。

hydeの曲は、やはりボーカリストの曲だからでしょうか、ボーカルがより色っぽく目立つような作風の曲が多かった印象を受けます。聴いていて、ボーカリストhydeの姿が、よりくっきりと(ちょっとナルシスティックに(笑))目立つのは、hydeセレクトの楽曲たちでした。

tetsuya bestとken bestは、どちらかというと「ラルクらしい」と感じる作品。そんな中でもtetsuyaの曲は、メロディアスでポップな曲が多かったように感じました。一方、kenの作品は、どちらかというとドラマティックというか耽美的というか・・・はっきり言うと「ヴィジュアル系」と括られそうな雰囲気の曲が多かったような感じがします。

そしてもっともわかりやすかったのがyukihiroの曲。かなり露骨に、90年代以降のオルタナ系ロックからの影響を強く感じます。エレクトロを入れてきたり、ヘヴィーなギターを入れてきたり。目新しさは薄く、よくありがちな音だなぁとも感じてしまったのですが、一方ではオルタナ系ロックへの愛情を楽曲から素直に感じられるのも印象的でした。

4枚組というフルボリュームながらも、一方では1枚7曲程度の内容であり、事実上、2枚組程度の長さになっています。あまりにフルボリュームだと、かえって聴きずらくなってしまうだけに、ここらへんの配慮はうれしいところです。

もっとも、選曲に関しては、ファン向きな部分が大きく、ベスト盤の本来の目的のひとつである、「入門盤」としての役割は果たしていないかな?一方で、ファンにとっては、それぞれのメンバーの色をより感じることが出来る上に、メンバーそれぞれが著名なエンジニアを起用し、リマスタリングしているため、全ての音源を持っていても楽しめるアルバムになっています。

そんな訳で、どちらかというとファンズアイテム的な作品。積極的に薦められる作品ではありませんが、私みたいに、ラルクを一応は聴いているけど、熱心なファンではない、という人にはメンバーの個性もあらためてわかり、なかなか楽しめるアルバムだったかも。

評価:★★★★

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